農業現場に女性を定着させたい 人手不足が深刻、子育てと両立しやすく
条件は「経営者のマインド改革」
農水省の「労働力確保体制強化事業」の事務局を務めるマイファーム(京都市)。西辻一真代表は女性が定着する条件として、①経営者のマインド改革②託児所やトイレなどハード面の整備③育児休暇や話し合いの機会を設けるなどソフト面の強化──を挙げる。 「女性が経営に関与する法人では、世界的に見ても時価総額が増加するというデータがある」と紹介し、経営者は「女性の定着が収益に直結すると考えるべきだ」と話す。 「体力差はアシストスーツや自動運転などのテクノロジーでカバーできる」。半面、ハード・ソフト両面の整備が必須とし、「出産や育児などライフステージに応じた制度の充実が雇用の定着につながる」と指摘する。
取材後記
男女別のトイレや更衣室、育児休暇に時短勤務、会社員の私にとって当たり前だと思ってきたことが、農業界では珍しい。裏を返せば、当たり前のことが人材確保の面で有利に働くともいえる。 誰もが活躍できる社会の実現には、経営者だけでなく男性の意識改革を急ぐべきだ。 少し前に「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)」との言葉がはやった。心のどこかに、「家事をやってあげている」「休日は子どもの面倒をみてあげている」との思いがないか。本格的に職場復帰した妻を見つつ、自身の行動を戒めたい。(志水隆治)
日本農業新聞