マンU、戦犯はハリー・マグワイアだ! もはや擁護できぬチェルシー戦。一体何をしていたのか【コラム】
プレミアリーグ第31節、チェルシー対マンチェスター・ユナイテッドが現地時間4日に行われた。ユナイテッドは2点を先行されるも追いつき、さらには一時3-2と逆転したものの、後半ATに2点を失って3-4で競り負けている。この試合の戦犯はDFハリー・マグワイアと言わざるを得ないだろう。(文:内藤秀明) 【動画】チェルシー対マンチェスター・ユナイテッド ハイライト
●戦犯はマグワイアと言わざるを得ない なんだこの試合は。 マンチェスター・ユナイテッドは、試合早々に2失点してリードを許すものの、前半のうちに追いつき、77分には一度3-2の逆転に成功している。にもかかわらず100分、101分に失点を許し、最終的に3-4で敗北。サッカーは複雑な競技で明確に敗戦の責任が一人に集まることは滅多にないと筆者は思っている。ただ今回はあえて言おう。この試合の戦犯はハリー・マグワイアだ。 雑にまとめるがこの試合の攻撃は悪くなかった。普段よりも近い距離感でのパスワークがあり、ハイプレスからのショートカウンターも機能していた。だからこそ3点とれているのだ。一方で守備、特にファーストプレスを突破された後の、自陣での守備がお粗末すぎた。そして4失点中3失点にマグワイアのミスが絡んでいる。 まず18分のPKを献上して2失点目を喫する場面、オープンな展開でユナイテッドの右サイドを攻略されるのだが、マグワイアがサイドへのカバーに行く様子がない。確かに相手が2枚で攻めているのに対して、ユナイテッドもアーロン・ワン=ビサカと、アントニーの2枚がいるので数的同数ではある。しかし状況的にアントニーは後追いの守備を強いられているので、もう数メートルほどニアにカバーしておくべきだった。もしイングランド代表DFのカバーがあれば、アントニーの無理なタックルも防げたかもしれない。 マグワイアがニアに釣り出されるとファーが空くリスクはあるものの、チェルシーはニアにしか人数を割いていないので問題なかった。そもそもだが、マグワイアはこの危ない展開で一度も首を振ってファーを確認する素ぶりすら見せていない。集中力の問題なのか、危機意識の問題なのか、前からハメにいく戦術を志向するクラブのCBとしては、スピード以前に足りていない能力があるのは明らかだ。 100分に決まった3失点目の場面も状況は近い。 ●マグワイアがチームを落ち着かせるべきだが… 右CBから左CBにポジションを変えたマグワイアはまたしてもサイドのスペースをガラ空きにした。90分以上も上下動しているディオゴ・ダロトと、89分に出場に出てきた元気いっぱいのノニ・マドゥエケがオープンな環境でマッチアップしている不利な状況に関わらず、またしてもマグワイアはサポートしなかった。せめて自分が行かないまでも、近場にいるブルーノ・フェルナンデスにスペースをカバーするようにコーチングだけでも出来ていれば、防げた場面だ。 にも関わらずマグワイアはチェルシーの快速ウインガーにサイドで自由とスペースを与えた。PKを与えたダロトにも不用意な部分はあったが、それは後ろの指示で未然に防げた。 そして101分に喫した4失点目。まず第一にチームを落ち着かせる役割を担うべきはキャプテンのB・フェルナンデスだが、彼のアグレッシブな性格を考えるとそれも難しい。ならバランサー型のリーダーだったマグワイアがチームを落ち着かせるべきだが、それをできず。PKを与えた責任を感じたダロトがドリブルで突っ込んでボールロスト、チーム全体が前がかりになっていたため、ひっくり返ってカウンターをくらってコーナーキックを与えた。 そしてこのコーナーキックでも、マグワイアは守備の統率をとれず、コール・パーマーをフリーにしてこの日3点目となるゴールを許した。イングランド人DFは一番警戒するべきチェルシーのエースがフリーであることに気づいてもいなかった。 ●足りない能力が多すぎる もちろん厳密に言えば、他の選手にも細々としたミスが沢山ある。ただ明らかにマグワイアがDFリーダーとして当たり前の責務を果たしていれば防げた失点ばかりだった。この日の地上デュエル数0というのがその証拠だ。ボールにチャレンジすらしていないのである。 ここからは憶測にすぎないが、46分にラファエル・ヴァランが負傷した際に、エリック・テン・ハフ監督が若手のウィリー・カンブワラではなく、ベテランのジョニー・エバンスを選んだのは、マグワイアが信頼されていないからではないか。確かに今の彼を若手と組ませるのは怖い。その結果、怪我明けのエバンスは負傷を再発させて、66分にカンブワラと交代することになる。 マグワイアには多くの誹謗中傷が集まり、同情すべき点は沢山ある。しかしながら今日のパフォーマンスを見る限り、やはり彼は、今のマンチェスター・ユナイテッドに必要な選手とは思えない。攻撃だけでなく、守備でも足りない能力が多すぎる。 (文:内藤秀明)
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