相続税対策に「タンス預金」は絶対NG! 結局バレる理由とは?
相続税の対策としてタンス預金をしている人がいますが、これはNGです。また、タンス預金をしても結局税務署にバレると考えましょう。 本記事ではその理由を説明し、かつ合法的な相続税対策についても解説します。 ▼祖父の部屋から「大量の小銭」を発見! 申告は必要? 勝手に使うのはNGなの?
タンス預金は何故ダメなの?
タンス預金でお金を遺族に渡した場合、渡された子や孫が相続税申告をしないと「加算税」や「過少申告加算税」といったペナルティを受ける可能性があります。タンス預金自体がダメなのではなく、タンス預金をしてひそかにお金を相続することが問題になります。 もし、遺産を相続したことを隠して無申告でいると、納めないといけない税金が加算税で15%以上、過少申告加算税で10%以上増えてしまい、相続税対策どころか逆に税金が増えることになってしまいます。
タンス預金はなぜバレるのか
「こっそり渡してバレなければいいのでは?」と思う人もいるかもしれません。なぜタンス預金をしてもバレるのかについて解説します。 ■国税総合管理(KSK)システムで財産を把握している 国は国税総合管理(KSK)システムを使い、納税者の申告書、資産の購入や売却の履歴などの情報を把握しています。お金の不自然な流れがあった場合、国はKSKシステムによりその内容を知ることができるのです。 ■税務調査で過去にさかのぼって財産を調査する 仮に税務調査が入った場合、通帳や家具の中も調査されます。過去にさかのぼって調査が行われ、不自然なお金の引き出し記録などがあれば、そこからタンス預金の存在が発覚してしまう可能性が高いです。 このように税務署はさまざまな手を使ってタンス預金による相続を防ごうとします。そのため、どうせバレないだろうと思っていると、税務署の調査により発覚し、ペナルティを受けることになってしまいます。タンス預金による相続税対策はしないようにしましょう。
相続税対策について
タンス預金に頼らず、合法的に相続税の対策をする方法はあります。ここからは、相続税対策の方法を紹介します。 ■生前贈与をする 生前贈与とは、生きているうちに財産を無償で渡すことです。贈与税は1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。つまり1年の贈与金額が110万円までなら贈与税はかからないため、毎年110万円ずつ配偶者や子どもに財産を渡すことで節税になります。 ■贈与税のかからない特例贈与をする 教育資金を贈与した場合は1500万円まで、結婚・子育て資金を贈与した場合は1000万円まで、住宅取得等資金の贈与は1000万円まで贈与税がかかりません。直系の子や孫に贈与するのが条件です。 ■同居して家にかかる税金を少なくする 配偶者や子どもが自宅を相続する場合、小規模宅地等の特例を使うと330平方メートルの面積までなら、家の評価額が80%減で相続税を計算できます。 例えば、家の評価額が3000万円だったとすると、本来この3000万円に税率をかけた額分の税金を納めなければいけないところ、80%減額した600万円に税率をかけた分の税金で済みます。かなり効果の高い節税対策です。 ■生命保険を活用する 自身が亡くなったときに生命保険が払いだされるようにした場合、「500万円×法定相続人の数」までは相続税がかかりません。例えば、配偶者と子ども1人が相続人であれば、1000万円(500万円×2人)までは相続税がかかりません。生命保険は相続税対策になります。 ■死亡退職金を使う 自身が亡くなった場合に勤務先から受け取る死亡退職金は「500万円×法定相続人の数」までは相続税がかかりません。 小規模企業の経営者や個人事業主が利用できる「小規模企業共済」の共済金も死亡退職金になります。経営者や個人事業主は小規模企業を活用することで、相続税対策になります。
タンス預金に頼らない節税をしましょう
タンス預金による相続税対策は違法な節税対策です。本記事で紹介した合法な節税対策を活用し、上手に相続税対策をしましょう。 出典 国税庁 No.2026 確定申告を間違えたとき 国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合 国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金 国税庁 No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金 国税庁 財産をもらったとき 執筆者:沢渡こーじ 公認会計士
ファイナンシャルフィールド編集部