「自分たちは無力、何も変えられない」…ロシア当局に骨抜きにされた”無気力な有権者たち”を投票所へ連れ出すために必要な「意外な戦略」
「怒り」に火をつける
珍しく私の党から候補者名簿に登録されたこともあったが、後からこじつけとしか言いようのない口実で被選挙資格が認められないこともあった。私の党は全盛期には全国80ヵ所に地方事務所を置き、国内でも最大級の規模を誇る。国家から絶えず攻撃にさらされるなどの苦難をものともせず、締め出された選挙で勝利を収めるという常軌を逸した能力が求められたのである。 この権威主義国家は、20年以上にわたって有権者に、「自分たちは無力で、何かを変えられるわけがない」という意識を植え付けてきた。それだけに、人々を説得して投票所に足を運ばせることは容易ではなかった。とはいえ、国民の所得は7年連続で減少の一途をたどっていた。現体制にうんざりしている有権者のうち、3分の1でもいいから、投票所に引っ張り出すことができれば、親プーチン派の候補者は一人残らず勝つ見込みがなくなるはずだ。 だが、どうやって投票所に引っ張り出せばいいのか。説得か?報酬か?私たちは、有権者の怒りに火をつける道を選んだ。 『困窮する国民をよそに“贅沢三昧”の汚職役人を引きずり下ろす!?...プーチンが恐れた男・ナワリヌイ氏が取った「冴えたやり方」』へ続く
アレクセイ・ナワリヌイ、斎藤 栄一郎
【関連記事】
- 【つづきを読む】困窮する国民をよそに“贅沢三昧”の汚職役人を引きずり下ろす!?...プーチンが恐れた男・ナワリヌイ氏が取った「冴えたやり方」
- 【前回の記事を読む】プーチンを追い詰め、殺害された活動家アレクセイ・ナワリヌイが命がけで書いた告発手記
- 【はじめから読む】全世界19ヵ国、同時発売!プーチンの悪業を暴き、殺害された活動家アレクセイ・ナワリヌイが命がけで書いた告発手記
- 「この国では“運悪く”窓から転落することも珍しくない」…『プーチン体制』と戦い続けたナワリヌイ氏が明かした「災難だらけの日常」
- 「4歳の少女が砲撃でバラバラに」...抗議活動を決行した女性のもとに15分で駆けつける、ロシア当局の「ヤバすぎる監視の真実」