名古屋城でラッパーのライブに熱狂! 意外な組み合わせが示す未来とは?
誇れる名古屋をみんなで作りたい
ソーシャルタワーマーケットの主催者である「ソーシャルタワープロジェクト実行委員会」の青木奈美さんは「2011年にテレビ塔がアナログ放送の電波塔としての役目を終えたことがきっかけだった」と語る。このころ、テレビ塔や公園をどう活用していきたいかを語る市民の会が開かれていた。 「テレビ塔は『名古屋のシンボル』と言われながら、地元の私たちはあまり行ったことがない、よく知らない存在でした。会の中で、テレビ塔を『私たち自身が、名古屋の街を好きになれる場所にしていこう』という話になり、市とNPOや大学、そして市民ボランティアが協力してソーシャルタワーマーケットを始めました」 マーケットには「街の魅力を発信する」というテーマに共感したセンスの良い雑貨店、飲食店などが多数出店。回を重ねるごとに評判を呼び、昨年は若者や家族連れを中心に、2日間で3万人を集めるほどとなった。このマーケットの「夜の部」としてテレビ塔内で開催されていたのが、Boiler Room Nagoyaの前身となる音楽イベントだった。 しかし、今年は会場だった久屋大通公園が改修工事で使えない。そこで場所を移すことになったのだが、「吉田さんをはじめ名古屋城総合事務所の人たちが『街の魅力を発信する』という考え方に共感してくれたのが、名古屋城を会場にした一番の理由」と青木さん。これまでのソーシャルタワーで「テレビ塔に愛着を持てた」「面白い人と出会える名古屋が好きになった」といった感想の多かったことが、名古屋城側にも高く評価されたそうだ。 「Boiler Room Nagoyaの出演者も、名古屋に縁のある人だけとすることにこだわりました。集客のためにもっと有名なDJを呼ぶ方法もあったと思いますが、イベントの目的に照らして、名古屋で活躍するアーティストをこそ世界に発信したいと考えたんです」 Boiler Room Nagoyaに訪れた人からも「新しい音楽と伝統的な建物の組み合わせが面白い」「名古屋でもこんなにすごいことができるのかと驚いた。またやってほしい」との声が聞かれた。 名古屋城をめぐっては、河村たかし市長が旗を振る木造建て替え計画が迷走。「東京オリンピックまでに」という当初の目標は遠ざかり、11月下旬から今月上旬にかけて市民説明会が開かれたが、どの会場もガラガラだった。まずは、地元の若い人を巻き込んで、現状を見直すことが必要なのではないだろうか。 (石黒好美/nameken)