【中国】鋼材需要の低迷続く、1~9月の利益56%減
中国鉄鋼工業協会が会員企業を対象に集計した2024年1~9月の利益総額は、前年同期比56.4%減の289億7,700万元(約6,240億円)だった。不動産市場の低迷などに伴い鋼材の国内需要が低迷する中、値引きなどの価格競争が広がった。原料価格の高止まりも重し。 同協会が25日開いた会見で発表した。会員企業の1~9月の売上高は6.8%減の4兆5,400億元だった。営業コストは6.1%減で、減収幅の方が大きかった。 国家統計局によると、1~9月の国内の粗鋼生産量は3.6%減の7億6,800万トン。一方、鉄鋼の国内需要量を示す鋼材見かけ消費量(粗鋼換算)は6.2%減の6億8,800万トンで、供給が需要を上回っている状態だ。鋼材見かけ消費量は8月に13.5%減、9月に11.1%減と大幅減が続いている。 中国鉄鋼工業協会の姜維副会長は、「市場の需給ギャップが広がる中で鋼材価格が大幅に下がり、企業の収益が圧迫されている」と指摘。収益の継続的な悪化は、企業の研究開発や製品のアップグレード、省エネ投資にも影響し、業界の発展を阻害すると強調した。 世界鉄鋼協会は、中国の鋼材需要が24年に前年比3.0%減、25年は1.0%減になると見通している。 姜氏は今後の見通しについて、建設用鋼材の需要は縮小しているが、新エネルギーやハイエンド設備製造、太陽光発電といった製造業分野が需要を下支えするとの見方。23年の鋼材需要に占める割合は建設用が52%、製造業用が48%だったが、今年は製造業用が5割を上回ると予測した。 ■今年9億トン以下 中国鉄鋼工業協会の唐祖君副会長は、24日に開いた鉄鋼企業との座談会で、今年の鋼材見かけ消費量は9億トンを下回るとの見方を示した。20年の10億4,800万トン、23年の9億3,300万トンから一層減少するとの見方だ。 唐氏は「中国の大規模建設の時期は過ぎた」と述べ、鋼材需要は減り続け、35年には8億トンまで減少すると予測した。