松本人志“訴訟終結” 自らの言葉で説明するのが芸人の務めではないか
【記者の目】「事実無根なので闘いまーす」。活動休止が発表された今年1月8日、松本はSNSにこう書き込んだ。だが、最後まで戦うのではなく、訴訟の取り下げというあっけない形で終結。法廷で真実が明らかにされることはなかった。 松本は最後まで自らの口で説明することはなかった。活動休止の際、フジテレビ「ワイドナショー」で説明するとしたが、周囲からストップがかかり白紙に。訴訟開始後にも会見を開こうとする動きが水面下ではみられたが、実現はしなかった。多くの人はもやもやした気持ちを抱えたままだろう。 最長で5年かかるとも言われた訴訟を取り下げて短期決着させたのは、本人がテレビでの早期復帰を強く望んでいることが大きい。訴訟開始時で60歳。5年後は65歳になる。自分のポジションを守ることを考えれば、早く戻りたい気持ちは理解できる。ただ、性的行為の強要については一貫して「やってない」と否定しており、事実無根を証明したいならば、初志貫徹で最後まで戦うべきだったのではないか。グレーな印象を払拭しきれないままでは、仕事相手も今後の起用に二の足を踏む可能性がある。 これで裁判にピリオドを打ち新しく前に進む意向で、会見を開く予定はないという。一連の騒動で迷惑をかけたファンや関係者を考えると、会見ではないにしても、自らの言葉で改めて生のメッセージを発信する場が必要だろう。それが言葉で世の中を明るくしてきた芸人の務めであるように思う。(文化社会部デスク・伊藤尚平)