[山口県]優雅に上臈参拝、歴史絵巻満喫 しものせき海峡まつり、32万3千人
下関市の関門海峡沿いを舞台にして2日に始まった「しものせき海峡まつり」はメインとなる3日、先帝祭上臈(じょうろう)道中・参拝や源平武者行列、八丁浜総踊りのほか、昨年まで中止されていた源平船合戦が繰り広げられた。5年ぶりに新型コロナウイルス感染拡大前と同じ形での開催となり、晴天に恵まれたこともあって、主催の同まつり実行委員会によると前年より約7千人多い約32万3千人の観光客らが壮大な歴史絵巻を満喫した。 壇ノ浦合戦で幼くして命を落とした安徳天皇や平家一門を慰霊する先帝祭は、絢爛(けんらん)豪華な衣装を身にまとった5人の太夫たちが稚児や官女らを従えて市内中心部を独特の足さばき「外八文字」を披露しながら練り歩いた。安徳天皇を祭る赤間神宮に参拝した太夫らは、境内の水天門から拝殿に特設された真っ赤な天橋を優雅に渡っていき、詰めかけた人たちを魅了した。 振袖太夫を務めた下関市の九州工業大2年、花柳多優月(市村美冬)さん(19)=下関邦舞連盟=は「緊張したが周囲の皆さんが温かい声をかけてくださり、堂々とした外八文字を披露することができた。衣装だけでなく、伝統の良い重みも感じられた」と笑顔を浮かべた。 山陽小野田市から友人と訪れた高校1年の生徒(15)は「上臈参拝を見るのは初めて。重そうな衣装で大変そうだったが、すごくきれいだった」と感激していた。 5年ぶりに復活した源平船合戦は、以前のような甲冑(かっちゅう)姿の武者役ではなく、下関市内の小学生や保護者らが源平の装飾を施した漁船約30隻に乗船。各自で作った段ボール製かぶとや陣羽織を身に着けて唐戸沖から同神宮沖を周回する海上パレードを行い、陸上から見守る人たちに笑顔で手を振って祭りを盛り上げた。 最終日の4日は巌流島で巌流島フェスティバルが5年ぶりに開かれるほか、同神宮などで御神幸祭本殿祭と御旅所祭がある。