【ニュージーランド】NZ政策金利5.5%で据え置き、6会合連続
ニュージーランド(NZ)準備銀行(RBNZ)は10日、金融政策会合を開き政策金利(OCR)を5.5%で据え置いた。6会合連続での据え置きは市場の予想通りとなった。RBNZは、インフレの粘着性が強いことが主な理由だとしたが、厳しい金融引き締めを続けることにより年内にもインフレ率を1~3%の目標範囲内に戻せる可能性があると指摘した。 RBNZは発表した声明の中で、前回(2月)の会合以降、国内・世界経済の進展について重要な変化はなく、金融政策が大方予想通り需要を抑制し続けているとした。 2023年第4四半期(10~12月)の国内総生産(GDP)が前期比で0.1%減少し、景気後退に突入したことについては、「国内経済は想定通りの展開を続けている」と説明。「生産能力への圧力とインフレをさらに抑制するためには、金融引き締めのスタンスを維持することが引き続き必要だ」とした。 企業活動は、一部指標で今年第1四半期(1~3月)に緩やかな回復が見られたが、企業信頼感は下落しており、企業の投資見通しも弱まったと指摘。「短期的な値上げ意欲は低下したが高水準のままで、実際のコストと予測コストがともに上昇していることが反映された」とした。 ■保険料や光熱費が上振れリスクに RBNZはまた、純移民数(移民流入数から流出数を差し引いた人数)が引き続き強く伸びており、個人消費と住宅価格の上昇を下支えしているとした。 また移民増加により労働力の供給が増え、生産能力への圧力を緩和しているとの見方を示した。直近の調べでは、「人材確保が困難だ」と報告した企業の割合は大きく縮小しているという。 インフレの上振れリスクとしては、持続するサービスインフレを挙げたほか、市税、保険料、光熱費がインフレ減速を阻害する可能性があるとした。下振れリスクは、世界の経済成長が弱い環境下での金融引き締め政策や、失業者の増加などだとした。 ■利下げは来年か RBNZは5月22日に次回会合を行う。 政府系キウイバンクのチーフエコノミスト、カー氏は、「RBNZは今回金融政策を調整するつもりは最初からなく、5月に調整する可能性もゼロに近い」との見方を示した。 RBNZは前回の会合で、利下げは来年4~5月になる可能性を示していた。オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のチーフエコノミスト、ゾルナー氏は今回の発表を受け、25年まで利下げが考慮されることはないとの見方を示した。一方金融市場は、年内に少なくとも2回の利下げを見込んでいる。