〈気象庁〉大雨特別警報の新基準 伊豆諸島北部で運用開始
「警報」の発表基準をはるかに超える短時間の大雨によって、重大な災害が発生するおそれがある場合に発表される大雨特別警報について、気象庁は11日、伊豆諸島北部(東京都大島町、利島村、新島村、神津島村)で新たな発表基準を適用すると発表した。適用するのは土砂災害についての新基準で、同日午後2時から運用を開始する。 2013年8月に運用を開始した大雨特別警報だが、当初は「府県程度の広がりを持つ現象を対象」としていた。このため、2013年10月に発生した台風26号による伊豆大島土砂災害では、死者・行方不明者39人という甚大な被害が出たが、大雨特別警報の発表基準は満たさなかった。 同庁は、このように甚大な被害が発生したのに大雨特別警報を出さなかったケースを検証し、地域ごとに基準の見直しを進めており、今回、自治体の了解が得られた伊豆諸島北部で先行的に運用を開始することにした。 新たな形では、警報基準をはるかに上回るラインに、災害発生との結びつきが深い危険度分布の技術を使った新しい特別警報の基準値を設けた。この基準値を超えたエリアが「1キロ四方」を1格子としたときに、概ね10格子以上出現しそうだと予測される場合に、該当する町村に大雨特別警報を発表する。 従来は、「5キロ四方」を1格子とした時に、「その地域で50年に1度」の値を超えるエリアが10格子以上出現した時に発表することになっていたが、伊豆大島の場合、全域でも9格子しかなく、どれだけ大雨が降っても、大雨特別警報の発表基準を満たせなかった。 今回の見直しの結果、伊豆諸島北部では、島しょ部という狭い地域に対しても、大雨特別警報の発表が可能になった。気象庁は、今後、過去に大きな被害が発生したが大雨特別警報が発表されなかった広島市、岩手県岩泉町、愛媛県宇和島市で基準見直しに着手し、その後、全国でも同様の作業を進める方針だ。
大雨特別警報は避難のための情報ではない
ただ、大雨特別警報は、避難勧告や避難指示(緊急)に相当する気象状況をはるかに上回るようなときに発表されるものだ。発表されたときには、既に重大な災害が発生している可能性が極めて高いとされている。 このため、「大雨特別警報は避難を呼びかけるような情報ではなく、発表を待っていては手遅れになる可能性が高い」ということを忘れないようにしたい。