今くるよさん悼む 記者にも気前よく粋な対応 とても仲が良かった「いくくる」さん
お笑いコンビ「今いくよ・くるよ」で一世を風靡し、女性漫才師のパイオニア的存在だった今くるよ=本名・酒井スエ子さん=が27日、膵がんのため、大阪市内の病院で亡くなった。所属する吉本興業が28日、公式サイトで発表した。76歳。京都市出身。通夜は30日午後7時から、葬儀・告別式は31日午後1時から、大阪市内の公益社天神橋会館で執り行われる。 【写真】満面の笑みで名物芸「どやさ」をする今くるよさん ◇ ◇ くるよさんが逝ってしまった。取材でお会いしたときは、いつも人懐っこい優しい笑顔で対応してくれた。その上、気前も良かった。 吉本興業の芸人が出演するなんばグランド花月(NGK)。その近くにあった中華料理店は、大阪・千日前という場所柄にふさわしく庶民的な店だった。出番前後の芸人たちもよく利用していた。ある日、夕方ごろに行ったとき、くるよさんもいくよさんと来ていたことがあった。目が合って軽く会釈する。しばらくして、いくくるさんが先に店を出て行った。 食事を終えて料金を払おうとすると、店の人が「もう、もらってます。いくくるさんが払っていかれました」。後日、お会いしたときに丁重にお礼を言うと、あのすてきな笑顔で応じてくれた。後輩芸人や吉本の社員にも同様にしていたと聞いた。 2人はとても仲が良かった。高校時代からソフトボールのバッテリーを組んでいた。2人で吉本を受けようと言い出したのはくるよさんの方だったが、いくよさんが受かり、くるよさんは落ちてしまった。書類選考の段階だった。納得いかないくるよさんが吉本に行くと、審査員同士が「落としたんは誰や」ともめたという。晴れて2人で吉本に入り、漫才ブームの波に乗って不動の人気を得た。 いくよさんが先に旅立ってからは、くるよさんは表舞台に出ることも減った。天国でどのように再会しているだろう。(デイリースポーツ東京報道部芸能担当部長・林大造)