北海道の高校生バンド テレビ大陸音頭、急速に広まりバイラル首位 令和のロックモンスターとなるか?
「俺に真実を教えてくれ!!」が持つティーンエイジャーの衝動
エッジの効いたちょっとキテレツなギターリフを軸にし、変化自在な演奏スキルを聴かせながら、ブレイクを荒々しくアレンジしているあたりは、まさにポストパンクの王道と言えるか。ボーカルもアプローチも、曲に合わせて見事な変化を見せる。よく喉が開いていて、リズム感もいい。これだけBPMの速い曲で、単語を明確に聴かせられるのは、発声がしっかりしているからだろう。ディストーションがかかったようなシャウトも披露しており、1分34秒という短い時間の中で、しっかり緩急を印象付けている。最後に〈フラストレーション大爆発〉〈僕の私生活はもうめちゃくちゃ〉という台詞のようなワンフレーズが飛び出すが、ここの体言止めで出てくるリズム感、間の取り方、抑揚のつけ方は、チラリと向井秀徳からの影響も感じられるが、「もうめちゃくちゃ!」と明るくサラッと言っているあたりに、今のティーンエイジャーらしさがあり、このバンドの個性にもなっていると考えられる。 テレビ大陸音頭は公式YouTubeチャンネルを開設しており、現在「俺に真実を教えてくれ!!」も含み、4本(4曲)の動画が公開されている。そのうちの3本はリハーサルの風景で、おそらくスマートフォンで撮影したものを投稿しているように見えるのだが、その音質でも、彼らのバンドアンサンブルのダイナミズムが十分に伝わってくる。特にドラムとベースの安定感、ダイナミズムは、このバンドの個性の一端を担っている。さらにこの投稿動画で注目すべきは、どの曲もまったく異なる曲調であることだ。ポストパンクに影響を受けながら、今、まさに多ジャンル、様々な時代の楽曲を吸収しながら、アウトプットの日々を重ねているのだろう。 この数年、70~80年代の音楽の再解釈やアップデートについては、シティポップを軸にして語られることが多かったが、パンクやロックというシーンでそこを語ることができるバンドが世に出てきたことはとても素晴らしいことだと思う。令和のロックモンスターが孵化する日は、きっとそう遠くない。 ※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2024-06-19
伊藤亜希