内藤剛志が「強行犯係 樋口顕」スペシャルシリーズ8弾「呪縛」の演技で語る愛に満ちた言葉
沢口靖子主演の人気シリーズ「科捜研の女 season24」が7月3日(水)からスタート、放送開始25周年を迎え、沢口演じる榊と内藤剛志演じる土門刑事の関係の行方にも注目が集まっている。「科捜研の女」以外にも内藤は主演ドラマで刑事役を演じているが、いずれも長寿番組になっているのは安定の人気と人柄がにじむ演技ゆえだろうか。 【写真を見る】「今野敏サスペンス 呪縛 警視庁強行犯係 樋口顕」(ファミリー劇場) 今年の4月には今野敏による本格警察小説を映像化した「強行犯係 樋口顕」シリーズのスペシャルドラマ14弾「今野敏サスペンス 警視庁強行犯係 樋口顕 -炎上-」が放映されたが、スペシャルシリーズ8弾となった「今野敏サスペンス 呪縛 警視庁強行犯係 樋口顕」での演技も秀逸だ。内藤が演じているのは捜査一課強行犯係の警部・樋口。冷静沈着な姿勢を滅多に崩さず、事件解明のため、容疑者や周囲の人物に穏やかながら鋭い質問を投げかけることでもおなじみだ。樋口がクールでいられなくなるのは娘の照美(逢沢りな)にまつわること。本作でも、照美が家にユーチューバーの彼氏を連れてきたため、会話が取り調べのようになり、娘に怒られるシーンも登場する。そんな樋口が今回、直面するのは東京・赤羽のマンションので何者かに殺害された前原功(土屋佑壱)が残した"77"のダイイングメッセージ。"呪縛"というタイトルの通り、家族という切っても切り離せない関係の愛憎も描かれる中、難事件に挑んでいく。 ■殺人事件に絡む二つの家族の謎に内藤演じる樋口が迫る 刺殺された前原はかつて怪しいモデル事務所を経営していた男。事件の第一発見者はシリーズでおなじみの東洋新聞社会部記者、遠藤(矢田亜希子)で、犯行推定時間直後に若い女性がマンションを出ていったという目撃証言もある中、捜査一課はなかなか犯人を割り出せないでいた。現場からは謎の数字のダイイングメッセージと凶器の包丁、そしてゴミ屑の中からはクリの木屑が発見され、樋口は少年事件課の盟友、氏家(佐野史郎)から被害者の前原と1ヶ月前に関東交通刑務所で会ったと聞かされる。 前原が面会したがっていたのは同じ埼玉の秩父出身でひき逃げ事件を起こした受刑者・仲村秋生(高橋光臣)。7日に仮釈放されたと聞き、樋口は「7日?」と数字に反応。秋生が地元の木工所に勤めていたことも引っかかり、早速、仲村の実家を訪ねることにする。事件との関わりを否定する秋生と、挙動不審な母親(かたせ梨乃)と長男の妻。一方、殺害現場のマンションから出ていった若い女性は指紋から16才の川野梨花(喜多乃愛)だということが判明。彼女も母親(田中美奈子)との確執がある家庭で育っていた。子供に無関心な母に氏家が激昂する中、樋口は「前原という人物をご存知ないですか?」と淡々と丁寧に捜査を続けていく。ギクシャクした2家族は事件にどう関わっているのか?内藤演じる刑事ならではの実直さと切り込みが登場人物の人間像を浮き彫りにしていく。 ■取り調べで樋口が投げかけるメッセージも染みてくる 事件を紐解いていく過程で、樋口の頭の隅に常にあるのはダイイングメッセージと木屑の謎。最初に引っかかっていたところからブレないのが、安定の捜査に繋がっている。そして、容疑者との取り調べのシーンで樋口が語る愛に満ちた言葉は想像力と洞察力がなければ発せられないものだ。被害者は何を伝えたかったのか。容疑者たちが囚われているものとは?難事件のミステリーとともに内藤の深みある演技が堪能できる。 文=山本弘子
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