パリ五輪 開幕まで100日 “サステナブル”で日本企業アピール【WBS】
環境配慮重視の背景にパリの事情
背景には開催地であるパリ特有の事情があります。 「セーヌ川ではトライアスロンの水泳などの競技が予定されていますが、環境団体は水質汚染を理由に選手を危険にさらすと警告しています」(ロンドン支局の立花剛記者) 国際NGO「サーフライダー財団」によると、2023年9月以降14回の検査でアスリートの健康を害さずに泳げる水質だったのは1回だけだったといいます。こうした状況から、組織委員会も先週、競技中止の可能性を示唆。開催を危ぶむ声が高まっています。街の人は「泳げるほどきれいだとは思わないとみんな言っている」と話します。 実はパリ市内にはゴミが慢性的にあふれています。「花の都」に憧れてくる人があまりの不潔さにショックを受けて精神的な不調をきたす“パリ症候群”という言葉さえあります。 そのため、フランスではオリンピックの開催が決まった後に「循環経済法」という法律を施行。ゴミを減らすことを目的に、プラスチック製のナイフやフォークを廃止しました。さらに、2023年の夏には買い物した際の紙のレシートを原則廃止。秋には服の修繕に補助金を出すなど環境対策を相次いで実施しています。
日本企業も環境配慮
環境対策を重視する今回のオリンピック。それを機会に、自社の製品をアピールしようとする日本企業が「エアウィーヴ」です。同社ではおよそ1万6000床分のマットレスをパリの選手村に寄贈。大会終了後はフランス軍やパリ・オペラ座バレエ学校の寮などでリユースします。 衛生面についてエアウィーヴの冨田力矢執行役員は「自宅の風呂場でシャワーで洗って陰干しすれば大丈夫」と話します。 さらにこのマットレスの最大の特徴は3つに分割されているところです。硬さが4段階になっている素材を並べ替えることなどで、自分好みに組み合わせることができます。 同様のマットレスは東京オリンピックの選手村でも使われていましたが、硬さを組み合わせる機能を活用しきれない選手もいました。そこで、パリオリンピックの選手村に導入されるのが、身長や体重を入力した上で全身を撮影すると、AIが計測した上でこの硬さがいいと提案するシステムです。 実際に提案されたマットレスの寝心地は「腰がしっかりしているのに、肩が柔らかくて寝返りが打ちやすいです」(白井亨佳記者) こうした性能面やリユースができるという環境配慮の面が評価され、エアウィーヴのマットレスは10社ほどの応募の中から選手村のマットレスに採用されたといいます。 「寝具がリユース・リサイクルされることは一般の認識の中ではなかった。実際にフランス国内でも使ってもらった上で、全世界に寝具もリサイクルできるものなのだと、新しいスタンダードを発信していければと思っている」(エアウィーヴの冨田執行役員) ※ワールドビジネスサテライト