割安な新興国の中小型成長株を狙い撃ち、S&P500の分散先にも選べる「エマージング・ハンター」の魅力
フィデリティ投信は4月24日に「フィデリティ・新興国中小型成長株投信(愛称:エマージング・ハンター)」を新規に設定し、運用を開始する。4月10日から野村證券で当初募集が始まった。同ファンドが投資対象とする新興国の中小型株の魅力や、フィデリティの新興国株についての運用体制等をフィデリティ投信の投信営業部部長の堀智文氏(写真:右)とシニア・プロダクト・スペシャリストの齊藤聡氏(写真:左)に聞いた。
――新興国の中小型株は、投資対象として、どのような特徴があるのでしょうか?
堀 新興国経済は、中間所得層の増加に伴う消費拡大、世界的なサプライチェーン再構築、現地企業による製品・サービスの内製化など、構造的な追い風を受け、新たな成長ステージを迎えています。先進国と比較しても、成長期待の高い新興国には大きな魅力があります。
その中にあって中小型株は、より高い成長が期待される投資対象です。過去10年間を振り返ると、「テンバガー(10倍化)」を達成した銘柄数は、先進国株指数(MSCIワールド、対象1480銘柄)では51銘柄だったのに対し、新興国中小型株指数(MSCIエマージングマーケッツ中小型株指数、対象2799銘柄)では182銘柄でした。また、テンバガー達成銘柄の過去10年の株価上昇率は平均で約30倍でした。
ただ、約2800銘柄の投資ユニバースは玉石混交です。テンバガーもあれば、長らく株価が低迷している銘柄もあり、また、中には経営危機に陥って株価が大きく下落するような銘柄もありました。その点では、インデックスで投資するよりも、企業調査をしっかり行ってアクティブに銘柄を選定するアプローチが重要な市場であると思います。
――「なぜ、今、新興国中小型株なのか?」ということについて、積極的に注目すべき理由を教えてください。
堀 新興国株式市場は過去10年を振り返ると一部インド株を除き、ほとんど注目されてきませんでした。たとえば、コロナ・ショックで株価が急落した2020年3月末から2024年3月末までの4年間の株価上昇率を日本円ベースで振り返ると、先進国株(MSCIワールド)はプラス182%、日本株(TOPIX)はプラス117%でした(配当込みトータル・リターン)。新興国株はプラス93%で先進国の半分程度の上昇率に留まっています。実際2011年以降、約13年間にわたって先進国株が新興国株をアウトパフォームしてきました。「マグニフィセント・セブン(M7)」といわれるような大型ハイテク株が相場をけん引してきました。