親子で「いつもケンカになってしまう人」と「仲良しでいられる人」の決定的な考え方の違い
「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では著者である萩原礼紀氏のインタビュー記事をお届けします。 ● 「いつもケンカになってしまう人」と「仲良しでいられる人」の違い ――高齢の親と些細なことでケンカになってしまうというケースは少なくないように思います。トラブルを防ぐためにも何か意識できることはあるのでしょうか。 萩原礼紀(以下、萩原):そうですね。まずは適切な考え方を知ることが一番かと思います。『北風と太陽』という童話を知っていますでしょうか。北風と太陽が力比べをするお話です。 力比べの内容はというと「通りかかった旅人の服をどちらが脱がすことができるか」というものです。北風は、旅人に猛烈な風を吹き付けて、強引に服を引き剥がそうとしますが、うまくいきません。一方、太陽は旅人をポカポカと温めることで、旅人が自発的に「服を脱ぎたい」と思うようにしました。この勝負では、太陽に軍配が上がりました。 この物語に登場する「北風」のように、無理やり相手を動かそうとしても、往々にしてうまくいきません。一方、「太陽」のように、相手が自発的に行動するような働きかけをすると、相手の心は自然と動きます。これは、「親とのコミュニケーション」でも押さえておきたい重要なポイントです。 親とのコミュニケーションは、お互いに遠慮がないですから、思ったことをそのまま口に出してしまいがちです。たとえば「~してよ」という言葉、これは他人には絶対に使わないですよね。 それはちゃんと相手に配慮した言葉づかいができているからです。ですから、親と話すときも、少しでいいですから配慮できるとコミュニケーションが円滑になるでしょう。 ――たしかに、親だからこそストレートに伝えすぎてしまうことは多そうです。 萩原:ストレートに思いを伝えること自体は悪いことではありません。しかも、先ほどの「~してよ」という言葉も、たとえば「健康のためにもっと運動してよ」というものであれば、決して悪くない提案だと思います。 ずっと家のなかにいると老化は早くなりますし、社会性も失われていきます。できれば長く元気でいてほしいという、家族しか言えない言葉です。 ですから、ストレートに思いを伝えることを躊躇するのではなく、「どうしたら親は行動したくなるか」という観点を持ってもらえるといいと思います。 先ほどの『北風と太陽』の太陽のように、相手が自然とそうしたくなる言葉をかけられるとベストです。たとえば、「この前、駅前に美味しそうなイタリアン見つけたんだけど一緒に行かない?」と聞いたらどうでしょうか。同じ外出を目的とした言葉でも全然印象が違うと思います。 このように、どういう伝え方をしたら親の心は動くのかを考えていただけるといいかと思います。そのうえで、出てくる言葉は家族によって異なりますから、皆さんにあった言葉を見つけていただけますと幸いです。 ――詳しく教えていただきありがとうございます。大変勉強になりました。
萩原礼紀