グーグル出資の中国生成AI「Mobvoi」が香港上場へ、膨らむ赤字の解消が課題
AIGC(AI生成コンテンツ)と音声対話を主力とするAI企業「出門問問(Mobvoi)」が4月2日、香港証券取引所のヒアリングを通過した。中国のAIGC業界初の上場企業となる見込みだ。 出門問問は2012年に設立され、いち早くAI業界に参入した。これまでに7回の資金調達を実施し、紅杉中国(HongShan、旧セコイア・チャイナ)」や米グーグル、真格基金(Zhen Fund)」などから総額約2億3300万ドル(約350億円)を調達した。最後の資金調達は19年9月に完了しており、その時点で評価額は7億5000万ドル(約1100億円) を超えていた。 コア技術はAI音声やAIデジタルヒューマン、独自の大規模言語モデル「序列猴子(Sequence Monkey)」など。主にAIGCソリューションと法人向けAIソリューションを提供するほか、スマートデバイスやアクセサリーも手がける。現在の中国のAIGC市場で最も収益化に成功している企業の1つで、22年の売上高に基づく市場シェアは9%で1位となっている。 しかし、AIGC業界は依然として成長の初期段階にある。出門問問の収益化の歩みも順調とは言えず、売上高の伸びが安定せず、赤字が続いている。目論見書によると、20~22年は増収傾向が続いていたが、23年上半期は前年同期比20%以上の減収となった。純損益も赤字で、累積赤字は27億8400万元(約580億円)に達した。 法人向けAIソリューション事業は大口顧客に依存している。22年と23年の最大顧客は独フォルクスワーゲン(VW)で、車載向け音声対話ソリューションなどを提供している。同事業の22年の売上高の42.6%をVWが占めた。 中国のAIGC市場では競争が激化している。出門問問は5年近く外部からの出資を受けていないが、今後は十分な資金を調達しなければ、市場の大混戦を勝ち抜くのは難しいだろう。 *2024年4月10日のレート(1元=約21円)で計算しています。 (36Kr Japan編集部)