ネットから青少年を守れるか? 中国の新規制
【東方新報】インターネットの普及によってオンラインゲームや動画サービスなどの娯楽が身近で多様になる中で、子どもたちがネット中毒や高額消費の危険にさらされている実情はどの国でも頭の痛い問題だ。 未成年のネット使用者が1億9000万人を超える中国では、今年1月1日から「未成年者インターネット保護条例」が施行された。これはネットリテラシーの強化、ネット情報の内容の基準化や個人情報の保護、中毒防止に向けたルールづくりなどを目指すものだ。 昨年12月22日に国家新聞出版署が「オンラインゲーム管理方法(草案)」を示し、今年1月22日までの期間でパブリックコメントを求めたのも、未成年を守るための取り組みの一つと言えるだろう。これは未成年保護そのものを目的としたものではないが、未成年が遊ぶゲームの時間や内容を企業側に制限する条項も盛り込まれた。 ゲームと並んで子どもたちが夢中になりがちなのがショート動画。あるアンケートでは、対象になった保護者の92パーセントが「子どもがスマホでショート動画に没頭するのはよくある」と考えていることが示された。ショート動画では未成年に不適切な暴力や性などに関わる内容に加え、演者に対して「いいね」感覚で支払う高額な投げ銭などもしばしば問題になってきた。これに関しては、一昨年5月に中央文明弁公室など4部門が投げ銭の標準化などに関わる方針を発表。動画プラットフォームに対し青少年モードなどの導入によって未成年の閲覧時間や内容を規制することも求めた。 こうした流れを受けて導入され始めた未成年をネットから守るためのシステムは、一定の効果があったものの抜け道があることは否めない。 「身分情報はすべてインターネットで買ったものです。それを使ってショート動画アプリに登録できるし、オンラインゲームも無制限にできます。時々ログインできなくなるので、そうすると祖父母の携帯電話を借りて認証コードを使ってログインします」 そう明かすのは中学2年生。最近では、未成年者が「ゲームパートナー」を探して複数で一つのアカウントを購入またはレンタルによって共有して使うケースなどあるという。個人情報を売買し、ゲームアカウントを不法にレンタルする犯罪グループが摘発され40人以上が関わっていた事件もあった。 ネットは中毒性のみならず、そこを入り口に性犯罪や詐欺の被害に巻き込まれる例も後を絶たず、未成年者には危険がいっぱいだ。子どもたちを守る努力は、日に日に進歩するバーチャル世界に決して遅れをとってはいけない。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。