【年金企画】「旅行なんかいつでも行けると言って、最初で最後に…」子ども2人を育てながらローン返済に追われ、支え合ってきた夫が急死 今は愛犬たちと暮らす女性の“大切な年金の使い道”とは?
佐伯さんが部屋の奥から取り出したのは、中でも特に思い入れがある物。 (佐伯さん) 「父親が買ってくれたクマちゃんなんです」 Q.何歳のときですか? (佐伯さん) 「もう小学校の頃です。大事に持っています」 Q.それから、そういう人形が好きになったと? (佐伯さん) 「もう好きでね、もうほんとに」
■27歳で結婚した夫と支え合いながらローンを完済 幸せな生活が続くと思っていたが…
佐伯さんは27歳のときに結婚し、10年ほど働いた会社を退職して、専業主婦に。現在暮らすマンションは、結婚を機に購入しました。 (佐伯さん) 「もう大変でした、ローン払うのに必死で。ローンを払うお金がなくて、あっちこっちでお借りしたぐらい」
2人の子どもを育てながら、ローンを返済する苦しい生活。佐伯さんは、再び働くことを決意しました。 (佐伯さん) 「出産から4~5年して、子どもがちょっと大きくなってから。朝から昼までぐらい、完全にパートです。会社帰りに買い物に行って、ご飯こしらえに行って。その頃も、しんどかったですよ。2人、子どももいるし」
それでも、決して裕福ではない生活を乗り越えられたのは、夫・五十三(いそぞう)さんがいたからだといいます。 Q.旦那さんは、どんな仕事をされていたんですか? (佐伯さん) 「鉄鋼所です、鉄鋼関係。朝から晩までね。おしゃべりで、話好きです。性格は、明るい人でした」
夫の明るさに助けられながら、数十年かけてローンを完済。定年後も二人で支え合って暮らしていた佐伯さん夫妻でしたが、4年前、思わぬ事態に―。 夫・五十三さんの体に、がんが見つかったのです。
■がん判明から1か月で、夫は帰らぬ人に― 「主人のおかげです」遺してくれた年金と家
(佐伯さん) 「十二指腸がんです。手術しても『もう元気にならないかもわからない』と言われて、『ほんなら、もう俺、手術せえへん』『このままで良い』って…」
がんが見つかった時点で、すでにステージ4で末期の状態でした。そして、がん判明から1か月後の2020年2月、病院で息を引き取りました。
夫・五十三さんとの一番の思い出は―。 (佐伯さん) 「最後の旅行です。家族全員で行ったから。新婚旅行も行っていませんからね。『旅行なんかいつでも行ける』と言って。最初で最後、本当に…」 がん判明直前に行った、和歌山・白浜町への最初で最後の家族旅行。
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