投資信託を見直したくなったらチェックすべきは「騰落率」「基準価格」それと…
新NISAもスタート間近。年末に向けて、これまでの投資を見直そうと思っている人は、多いはず。 今回は、すでに投資信託を運用している方に向けて手軽に入手できる資料を使って最適な商品を見直す方法を紹介します。
1. 投資信託を見直すために必要な「2つの資料」
投資信託に関する、手に入りやすい資料は、2種類あります。 目論見書 月次レポート※ 特に毎月発行される月次レポートが現在の運用実績などがギュッとまとまっておりチェックするのに最適です。 ※マンスリーレポート、月報など、運用会社によって名前が異なるものの、本稿では月次レポートに統一します。 目論見書とは 投資目的や運用方針、リスクやコストなどが記載されている。投資信託の購入前に必ず確認する資料。ファンドの内容が、わかりやすく解説されている。 月次レポートとは 投資信託の運用実績や組み入れ資産などを記載。毎月発行されるため、今の運用状況がチェックできる。 「収益を知りたい」「投資している企業を確認したい」「今後の見通しを知りたい」など、気になる情報が数ページにぎゅっと詰まっているため、投資初心者にとってもわかりやすい。 月次レポートは、投資信託を購入した金融機関でも貰えるものの、一番手頃な方法は、ネット検索すること。 「投資信託の名前 月次レポート」と入力すると、簡単にヒットします。複数のサイトから、「○○アセットマネジメント」、「△△投資信託顧問」のような、運用会社が運営するページを選ぶと見やすく安心です。 運用会社とは、投資信託を作って、販売している会社です。聞き慣れないかもしれませんが、家電で例えれば、パナソニックやシャープのようなメーカーが、運用会社です。
2. 月次レポートで見るべきポイント
「収益を知りたい」→基準価格&騰落率をチェック ▼基準価格をチェックするには 今持っている投資信託の成績をチェックしたい場合は、基準価格をチェックしましょう。 基準価額は、投資信託の組み入れ資産の値動きに伴って変動します。一般的に1万口あたりの金額で表示され、すべての投資信託において、新発売された時点での基準価額は1万円です。 投資信託を通じて投資した、株式や債券などの価格が上昇すると、基準価額も上昇します。これまでに支払われた分配金は、基準価額には含まれません。 基準価額がわかれば、リターンを簡単に計算できます。 以前に投資信託を10,000円で購入した場合、今の基準価額が12,000円であれば、12,000円÷10,000円ー1=0.2、つまりリターンは20%となります。 計算が面倒であれば、買ったときの基準価額を覚えておき、今の基準価額と比較するだけでもざっくりと損益を確認できます。 ▼騰落率をチェックするには 騰落率は、ある期間における、基準価額の上昇率・下落率を示した指標です。 月次レポートには、過去1カ月、1年、設定来(投資信託が設定されて以来の累計の騰落率)など、複数の期間が掲載されています。 保有期間の騰落率を見れば、自分で計算する手間が省けます。グラフが付いている場合が多く、運用成績を視覚的に判断できます。 騰落率は、計算する期間によって、良し悪しが変わります。また、過去の運用成績は、将来の成果を保証してくれません。「今月は好成績だから、これからもずっと安泰」と安心せず、定期的にチェックしましょう。 「コストが割高かも」と心配→信託報酬をチェック 信託報酬とは、投資信託の保有中に掛かるコストです。投資金額が100万円、信託報酬が税込み1.5%の場合、年間で1万5,000円が信託報酬として差し引かれます。 ニッセイ基礎研究所によると、 信託報酬の平均:インデックスファンドでは、国内株式が0.33%、外国株式が0.21%です。 インデックスファンドは、同じ指数であれば、どの投資信託に投資しても、運用成績に殆ど差はありません。 信託報酬が安いほうがお得になるため、平均よりも高い信託報酬を支払っている場合は、別の投資信託への切り替えを検討しましょう。 信託報酬の平均:アクティブファンドでは、国内株式が1.27%、外国株式が1.34%です。 アクティブファンドの場合は、信託報酬が高くても、運用成績に満足できれば、保有を継続してもいいでしょう。 また、積立投資の場合は、購入時手数料もチェックしましょう。 「投資先の企業名を確認したい」→組入上位銘柄をチェック 月次レポートでは、組入れ比率の高い銘柄が確認できます。組入銘柄は入れ替わるため、定期的にチェックしましょう。業種別の組入比率や、国別の比率も確認できます。 投資信託によっては、特定の会社をピックアップして、毎月詳しく解説している場合も。余裕があれば、チェックしてみてください。 アクティブファンドの中には、インデックスファンドとほぼ同じ銘柄に投資している場合があります。 せっかく割高な手数料を払うのであれば、運用担当者の独自の目線で選定され、かつ儲かる投資信託に投資したいものです。アクティブファンドを保有している場合は、厳しい目線で組入銘柄をチェックしてみてください。 「見通しを知りたい」→運用担当者のコメントや市況動向をチェック 運用会社によっては、運用担当者のコメントや市況動向を掲載しています。 長期投資の場合は、価格変動を気にしすぎる必要はありません。しかし、今の値動きの背景を知ることで、不安が軽減し、また、今後の資産運用の方針が立てやすくなります。