中国金融エリート、6400万円の報酬上限と賞与返還に直面-関係者
(ブルームバーグ): 中国金融界で働く人々が高額報酬を得る時代は急速に終わりを迎えつつある。習近平国家主席の「共同富裕」運動に従い、業界大手の一角が新たな厳しい制限を課し始めた。
事情に詳しい複数の関係者によると、国内最大級の金融コングロマリットは上級社員に対し、繰り延べボーナスの受け取りを見送るよう求めている。税引き前報酬の上限290万元(約6400万円)を順守するため過年度分の返還を求めるケースもあるという。
国有企業では招商局集団や中国光大集団、中国中信集団などが最近、一部従業員に指針を伝えた。部外秘情報だとして関係者が匿名を条件に話した。また、一部投資信託の運用担当者も過年度に得た報酬のうち指針に沿わない部分を返還するよう圧力を受けているという。
習主席が富の分配の平等化を推進する中で、投資銀行のバンカーやファンドマネジャーなど金融業界で高額報酬を得る人々は、ぜいたくな暮らしぶりを巡り中国政府から「享楽主義者」だと非難され、最も大きな打撃を受けている。中国金融業界は共産党の厳しい締め付けを受けており、銀行や証券会社は給与やその他の手当を削減している。
事情に詳しい関係者が4月に語ったところによると、中国の複数の投資信託会社は従業員の給与上限を約300万元に設定することを提案した。どれだけ多くの金融機関が現在の指針の対象となるのかは不明だと関係者は付け加えた。
年次報告書によれば、中信集団傘下の中信証券では、経営委員会の上級幹部全員が昨年、300万元を大きく超える報酬を得ており、張佑君会長は500万元を稼いでいた。幹部らの報酬の大半は繰り延べボーナスによるものだった。
中信集団と招商局集団、中国光大集団の担当者らは取材要請に応じなかった。
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原題:China’s Financial Elite Face $400,000 Pay Caps, Bonus Clawbacks(抜粋)
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