貴重、江戸期の世界地図 三重・多気町郷土資料館 寄贈など新収蔵品90点を展示
教育の変遷分かる明治~昭和の教材も
三重県多気郡多気町相可の町郷土資料館(多気郡教育会館内)で現在、企画展「新収蔵品展~暮らしと時代の証言者」が開催されている。6月16日までで観覧無料。 同展は、ここ5、6年の間に寄贈されたり、旧佐奈村役場から移管されたりして新たに収蔵された資料を展示するもので、江戸時代から昭和の戦後期にかけてのさまざまな展示品が約90点集結している。 会場には、明治時代や昭和の戦中・戦後の学校の教科書を展示している他、江戸時代に庄屋を務めた四疋田の釜田家から寄贈された世界地図「三千世界 早視(はやみ)万国図」(江戸末期)や、旧佐奈村役場で見つかった1923(大正12)年に行われた佐奈尋常高等小学校増築式典の際の式辞や告辞、工事報告などの貴重な資料が並ぶ。 明治時代の小学校を紹介したコーナーでは、1900(明治33)年に4月一斉入学が始まるまでは毎月入学を受け付け、1学年ごとに進級試験を受けて席順が成績で決まったりするなど、今の学校教育制度とは大きく異なることが分かりやすく展示されてる。また欧米から取り入れた教師と児童の対話形式による授業「問答」の内容について記された「下等小学三種問答 全」(1879年、能島武夫編集)など、当時の児童の教科書や教員の教材なども展示されている。 昭和期に入ると、戦後の厳しい物資不足の中で、挿絵もなく粗末な紙をホチキス止めしただけの1946(昭和21)年の「よみかた 四 二ねん後期用」(文部省著作、東京書籍㈱発行)が製作されるなど、戦中から戦後にかけての子供たちの教育の変遷を垣間見ることができる。 同館は「通常はテーマを決めて特別展を開催するが、今回は寄贈してもらった資料を一挙に展示した。各時代の地元の歴史の深さを知ってもらえたら」としている。 開場は午前9時~午後4時。月曜、祝日休館。問い合わせは同館TEL 0598(38)1132 へ。