「テレワーク」の過重労働で“初”労災認定 弁護士「脱法状態であるケースも少なくない」と指摘する“濫用実態”
「事業場外みなし労働制度」が濫用される問題を訴える
労使協定で定める事業場外のみなし時間が8時間以下の場合には、事業場外みなし労働制度について労基署への届け出は不要とされている。 笠置弁護士は、事業場外みなし労働制度は会社にとって導入が容易なうえ、オフィス設備にかける費用や残業代を浮かすことができるため、会社側のメリットが大きな制度であることを指摘。 また、届け出も不要なことから、これまで労基署は事業場外みなし労働制度の監督や摘発をほとんど行っていなかったという。 しかし、たとえテレワークであっても労働者が使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っているなら、事業場外みなし労働制度の適用条件に違反する。「政府には濫用事案の取り締まりを速やかに、きちんと行っていただきたい」と笠置弁護士は訴えた。 また、通常の場合、PCでのテレワークは企業にとって労働時間の管理が容易になる。コロナ禍に伴いテレワークが浸透するにつれて事業場外みなし労働制度を導入する企業も増えたが、実際には「労働時間が算定し難い」という要件を満たさない脱法状態であるケースも少なくない、と代理人弁護士らは指摘。 「本件では、労基署が的確に事業場外みなし労働制度の濫用を見抜き、労災認定を行ったという点で評価できる。このような動きは、全国的に広がっていくべきであり、事業場外みなし労働制度の濫用が行われていないかどうかを精査していく必要がある」(配布資料より) 女性は会見には参加しなかったが、メッセージを記載した資料が配布された。 「この事件が世の中に周知されることにより、きっと、どこかにいる誰かの命を救うことができるような気がしています」
弁護士JP編集部