和倉「千年桜」10月から植樹 能登再興のシンボルに
●官民プロジェクトが始動 能登半島地震で大きな被害を受けた七尾市和倉温泉を桜で彩る「能登半島復興 わくら千年桜プロジェクト」が10日、動きだした。日本さくらの会(東京)や同市などによる実行委員会が発足し、市制施行20周年の10月1日に苗木100本の植樹を始めることを決めた。桜は湯のまちの復興を見守りながら3年後には花を咲かせる見込みで、官民連携で能登再興のシンボルとして震災の記憶を紡ぐ。 ●長く震災の記憶を 実行委は毎年、植える桜を増やして将来的に千本とする計画。プロジェクト名は、桜を守っていくことで末永く震災の記憶を伝えたいとの思いを込めて「わくら桜千本プロジェクト」の仮称から変更した。 第1弾の取り組みとして足湯施設がある「湯(ゆ)っ足(た)りパーク」に60本、曹洞宗(そうとうしゅう)青林寺の裏に広がる「和みの丘公園」に40本の苗木を植える。植樹式には和倉小の児童も参加する。 塩害に強く、白や淡いピンクの花を咲かせる「オオシマザクラ」を中心に、花の色がタイの色に似ている「タイリョウザクラ」や大輪の花を付ける「ヨウコウザクラ」などさまざまな品種を植樹していく。 実行委は和倉温泉の観光協会、旅館協同組合、商店連盟の代表ら13人の委員で構成する。プロジェクトは北國新聞社が特別協力し、蓮實進日本さくらの会理事長、茶谷義隆市長、砂塚隆広北國新聞社社長が顧問、多田邦彦観光協会長が委員長に就いた。 ●七尾市制20周年に合わせ 和倉温泉お祭り会館で開かれた初会合では、継続的に植樹場所や本数を増やしていくことを確認。今年は和倉小が現在地に移転してから40周年、日本さくらの会の発足60周年に当たり、七尾市制施行20周年の節目の日に植樹をスタートさせることで一致し、蓮實氏は「立派な桜を植樹して能登の希望の象徴にしたい」と期待を込めた。 和倉温泉は元日の地震で旅館・ホテルの建物が被害に遭い、七尾湾に面する護岸が崩れ落ちた。現在、旅館協同組合の加盟21施設で一般客の受け入れを再開できたのは旅館2軒のみで、多田委員長は「能登の早期復興を願い、千年先もさまざまな桜が咲き誇る和倉にしていく」と話した。 顧問、委員長を除く実行委のメンバーは次の各氏。 ▽副委員長 谷﨑裕(和倉温泉旅館協同組合理事長)▽委員 柿島繁昌(和倉地区連合町内会長)小泉孝史(和倉温泉合資会社社長)立川尚人(和倉温泉商店連盟会長)奥田一博(和倉温泉旅館協同組合青年部長)平山孝一(七尾市都市建築課長)立川淳(七尾市交流推進課長)浅田信行(日本さくらの会事務局長)道上宗雅(北國新聞社取締役営業局長)