元日本代表SH田中史朗、今季限りで現役引退 会見の最後の最後に涙「さっきまで頑張って泣かんかったのに」 夢は日本代表HC
ラグビーのリーグワン2部・東葛の元日本代表SH田中史朗(39)が24日、東京都内で会見し、今季限りでの現役引退を表明した。2007年の三洋電機(現埼玉)入団から、日本ラグビーを強くすることを自らの使命とした17年間。将来は「日本代表ヘッドコーチ(HC)に」という夢も明かした。日本代表の同僚だったFB松島幸太朗(31)=東京SG=らがサプライズで登場すると、こらえ切れずに涙をこぼした。 【写真】「さっきまで頑張って泣かんかったのに」松島幸太朗と松田力也がサプライズ登場…大粒の涙を流した田中史朗 〝泣き虫SH〟の目から大粒の涙が落ちた。会見途中までは声を詰まらせながらもこらえていた田中だが、松島とSO松田力也(29)=埼玉がサプライズで登場すると我慢できなかった。 「びっくりしました。うれしく思う。さっきまで頑張って泣かんかったのに」 2008年に日本代表入りし、W杯3大会に連続出場。俊敏な動きと統率力で、15年イングランド大会では南アフリカから金星、19年日本大会では日本初の8強進出に貢献した。だが、日本ラグビーへの強い思いの原点は11年ニュージーランド大会にあった。 1分け3敗で1次リーグ敗退。帰国すると、空港にはメディアもファンも出迎えていなかった。「ラグビーの人気を落としてしまった」。失地回復の思いは今でも「日本ラグビーをよろしく」の言葉になって出る。 現役引退を決意したのは今季半ば。3、4年前から「体がきついと感じるようになり、今のパフォーマンスで試合に出ていいのかなと考えるようになった」という。 元バドミントン選手の妻・智美さんにも2カ月前に伝えた。「妻もアスリートだったので背中を押してくれて、ここまで続けられた。伝えたときは〝お疲れさま、ありがとう〟と。肩の荷が下りた気がした」と感謝した。 現役生活は5月25日の1部との入れ替え戦最終戦までで残り1カ月、4試合。今後は東葛で子供たちを指導するアカデミーのコーチとして普及育成に携わる予定だが、大望もある。 「日本代表HCをやってみたい。日本代表で勝つ喜びを、コーチとして選手たちに味わってもらいたい」。 〝フミ・ジャパン〟の躍進を思い浮かべ、自らの支えとする。(田中浩)