【ライトノベル最新動向】『薬屋のひとりごと』週間ランキングを席巻! 『わたしの幸せな結婚』人気も健在
TVアニメの人気から原作が既刊のものも含めて売上を伸ばす現象が続いている。Rakutenブックスのライトノベル週間ランキング(1月8日~14日)は、1位に徒然花の原作を木野咲くカズラがコミカライズした『誰かこの状況を説明してください! ~契約から始まるウェディング~ 9』(アリアンローズコミックス)が入ったほかは、10位までに日向夏「薬屋のひとりごと」シリーズが、1月31日発売の『薬屋のひとりごと 画集』(主婦の友社)も含めて6冊並んだ。 【画像】キャラクターのビジュアルも魅力的なライトノベル 1位の『誰かこの状況を説明してください! ~契約から始まるウェディング~ 9』は、お飾りの妻になってくれと頼まれた貧乏貴族令嬢のヴィオラを主人公にしたウェディング・コメディ。隣国の王太子がヴィオラに突然求婚して起こる騒動が描かれる。 2位は「薬屋のひとりごと」シリーズの1巻となる『薬屋のひとりごと』(ヒーロー文庫)。2023年10月から始まったTVアニメの第1クールに描かれたエピソードを振り返るのに最適な1冊だ。 3位が「薬屋のひとりごと」シリーズでイラストを手がけているしのとうこによる待望の画集『薬屋のひとりごと 画集』で、原作14巻分の装画・口絵・挿絵の全点と、画集のために新たに描き下ろされたものも含めた302点ものイラストが収録されている。ねこクラゲ、倉田三ノ路によるコミカライズやTVアニメの猫猫も、コミカルだったり優美だったりといった多彩な表情を見せてくれるが、原点となる小説のイラストでも、猫猫の豊かな表情や仕草、そして壬氏の眉目秀麗ぶりをたっぷりと楽しめる。ファンなら”買い”の1品だ。 「薬屋のひとりごと」シリーズは以下、6位に最新の14巻、7位に3巻、8位に12巻、10位に1月から始まったTVアニメの第2クールに当たるストーリーが入った2巻がランクイン。この2巻には、新クールから登場してきた片眼鏡(モノクル)をかけた胡乱なおっさんはいったい誰か、阿多妃の代わりに上級妃となった楼蘭妃がどんな人物かが描かれている。TVアニメを見てから読むか、それとも読んでから見るか。 30位まででも「薬屋のひとりごと」シリーズは、19位に5巻、22位に4巻、24位に12巻のドラマCD付き限定特装版、27位に13巻がランクイン。TVアニメの人気ぶりからアニメ化が第2期、第3期と続いたとしても、放送までには時間がかかりそうなだけに、待ちきれず手に取る人が多いのかもしれない。 日向夏は、星海社FICTIONSで「神さま学校の落ちこぼれ」というシリーズも展開中。この最新刊となる『神さま学校の落ちこぼれ3』(星海社FICTIONS)が1月23日に発売となる予定で、ランキングの12位に入った。実家の神社を再建するため「神さま」を目指す少女ナギだが、推薦入学で入った「神さま学校」では学年最下位の落ちこぼれになってしまう。それでも頑張るナギに目覚めた神通力。そして始まる下剋上。異能混じりの学園ストーリーを楽しめるシリーズだ。 ランキングの4位は、こちらもTVアニメや実写版映画が話題となって一時のランキングを独占した顎木あくみのシリーズ最新刊『わたしの幸せな結婚 八』(富士見L文庫)。オンラインショップで予約中の限定版に付くアクリルスタンドに描かれた表紙絵には着物姿が多かった美世が洋装姿で登場していて、新しい暮らしに入ったことをうかがわせる。待望の”幸せな結婚“を成し遂げた美世と久堂清霞だったが、その平穏は続くのかが気になるところ。TVアニメの第2期制作も決まっているシリーズだけに、新刊や放送のタイミングでランキングを独占する現象が続くだろう。 5位は安里アサトによるSFシリーズ最新作となる『86-エイティシックスーEp.13 ─ディア・ハンター─』(電撃文庫)。人類を殲滅するべく動き続ける機械兵器の猛攻にさらされ続ける状況であるにも関わらず、一致団結するどころかテロを起こす勢力が人類の中に現れ混乱する。終わりの見えない戦いの行方は? 人類は生き延びることができるのか? 目を離せないシリーズだ。 9位は、2月24日発売の衣笠彰梧による「よう実」シリーズ最新刊『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編11』(MF文庫J)。2年生の3学期という、最終年度へと向かう上で重要な時期に起こる騒動が描かれる。「よう実」はTVアニメの第3期が1月からスタート。最新刊から1年前となる1年生の3学期が舞台で、綾小路清隆の過去を知るAクラスのリーダー、坂柳有栖のヤバさに触れられる。こちらが盛り上がれば小説の既刊もランキングに浮上してきそうだ。 11位以下では、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」シリーズの伏見つかさ『私の初恋は恥ずかしすぎて誰にも言えない』(電撃文庫)が15位、「Missing」シリーズの甲田学人による『がっこうがかり』(電撃文庫)が17位と、電撃文庫の人気作家による新シリーズがランクインした。『私の初恋は恥ずかしすぎて誰にも言えない』は、美形ながらもまるでモテなかった少年が、美少女になってしまって自分に恋をするというコメディ。『がっこうがかり』は学校の怪異に挑む係にさせられてしまう少年少女たちによるホラーアクション。どちらも両作家の得意技が出た新シリーズだ。
タニグチリウイチ