山本巧次郎被告（24）

堺市でおととし8月、交際相手だった女性を何度も刺して殺害した罪に問われた男に対し13日、大阪地裁堺支部は懲役20年を言い渡しました。

殺害された大田夏瑚さん

大阪府貝塚市の無職、山本巧次郎被告（24）はおととし8月、以前交際していた大田夏瑚さん（当時20）の堺市西区の自宅で、大田さんの両脚や胸を包丁で複数回刺し、大田さんが逃げるためベランダから飛び降りて路上で瀕死の状態だったところを何度も胸を刺して殺害したとして、傷害と殺人の罪に問われていました。 これまでの裁判で山本被告は、「覚えていないが、僕のしたことに間違いない」と起訴内容を認めましたが、弁護側は「突発性の精神疾患で責任能力がなかった」として無罪を主張していました。 一方の検察側は、「被告は犯行後に事実を認識しており、責任能力があった」と指摘し、「強固な殺意に基づく執拗で残忍な犯行態様で、動機は復縁を断られたことによる自己中心的で、身勝手なものだった」として懲役20年を求刑していました。

堺市・西区の現場

20日の判決で大阪地裁堺支部は、「犯行時、被告には動機があり、不自然・非合理な行動はなく完全責任能力が認められる」と認定しました。 その上で、「最後まで必死に生きようと助けを求めながら殺害された被害者の絶望は想像を絶する。被告の動機も身勝手で同情の余地は無い」などとして、検察の求刑通り懲役20年を言い渡しました。 裁判では、山本被告自らが110番通報した音声や警察車両のドライブレコーダーの映像も流れ、被告が臨場した警察官に「強い殺意を持って殺しました」、「息があったから刺した」「本気で好きやったのに」などと泣き叫ぶ被告の音声も流れました。 山本被告は5日の被告人質問の中で、「大田さんにごめんなさいと伝えたい。本当に取り返しのつかないことで、何でこんなことをしてしまったのか反省している」と謝罪の言葉を述べていました。