金田喜稔がシリア戦を斬る!「久保は得点だけでなく、味方を活かすプレーも光っていた。パリ五輪世代が存在感を発揮するなど好材料が多かった」
何かやってくれそうな雰囲気を感じる
[W杯アジア2次予選]日本 5-0 シリア/11月21日/プリンスアブドゥラー・アルファイサル・スタジアム 【PHOTO】日本代表のシリア戦出場16選手&監督の採点・寸評。スコアラーと指揮官に7点台の高評価。MOMは4Aの14番 日本代表はワールドカップ・アジア2次予選でシリア代表と対戦し、5-0で大勝。5日前のミャンマー戦に続き、実力差を見せつけてくれたね。 日本は32分に、久保のミドルシュートで先制した。早い時間帯でゴールが欲しいなか、相手の守備を崩すのに時間がかかったけれど、菅原と伊藤の両サイドバックがインナーラップして攻撃参加を繰り返し、相手のセンターバックの意識をサイドに向けさせたからこそ、中央にスペースが空いて、久保が仕留めることができた。この1点は大きかった。 また、ミャンマー戦では町田が強烈なミドルシュートを打っていたけど、シリア戦では守田らが果敢に狙っていた。引いた相手に対してはその姿勢で良いと思うし、最終ラインや中盤の選手にミドルの力があるのも魅力だ。 伊東が4アシストをマークし、追加招集されたパリ五輪世代の細谷がゴールを奪ったのも素晴らしいけど、個人で最も良い動きを見せたのは、やっぱり久保だね。得点だけでなく、味方を活かすプレーも光っていた。 日本代表の課題として指摘し続けてきたフリーキックやコーナーキックなどのリスタートも、久保がいることで全体的なレベルが上がる。 それに彼がボールを持つと、何かやってくれそうな雰囲気を感じるよね。チーム内での存在感も増しているから、鎌田や堂安、南野らがいるなかで、今後どう起用されるのか。森保監督の采配に注目したい。
アンダー世代からの台頭にも期待
守備陣に目を向けると、冨安と谷口は安定感が際立っていたし、菅原は強烈なシュートを決めて、伊藤はチーム2点目に繋がるクロスを上げた。 ゴールキーパーの鈴木も存在感を発揮していた。ハイボール処理やビルドアップにミスがなく、良いアピールになったと思う。日本代表にとっての好材料が多かったよね。 一方で少しだけ心配なのは、今夏に加入したリバプールでは出場機会が限られている遠藤の今後のコンディションだ。かつて南野もそうだったけど、試合から遠ざかってしまうと、心身のコンディションは落とさないように努められたとしても、ゲームコンディションは出続けないと調整が難しい。自チームでアピールできるかが大事になるね。 これで6月のエルサルバドル戦から8連勝。来年の元旦にタイ戦を控えているけど、ドイツやトルコなどにも勝利し、良い流れのまま迎えられる来年1月のアジアカップは、前回大会より期待値が高い。絶対に勝てるという保証はないけれど、優勝してほしいし、少なくとも内容はどのチームよりも上回ってほしい。 26年北中米ワールドカップのアジア出場枠は「8.5」に拡大されるから、多くの怪我人が出るなど、よほどのアクシデントがなければ、今の日本代表の力なら十分に出場権を確保できるだろうね。 それにワールドカップまで、まだあと2年半ほどあるから、U-22日本代表などからどれだけの突き上げがあるか。2000年のシドニーオリンピックで活躍し、2002年の日韓ワールドカップでも躍動した小野らのように、アンダー世代からの台頭にも期待したい。 【著者プロフィール】 金田喜稔(かねだ・のぶとし)/1958年2月16日生まれ、65歳。広島県出身。現役時代はドリブルの名手として知られ、中央大在学中の1977年6月の韓国戦で日本代表デビューを飾り、代表初ゴールも記録。『19歳119日』で記録したこのゴールは、現在もなお破られていない歴代最年少得点である。その後は日産自動車(現・横浜)でプレーし、1991年に現役を引退。Jリーグ開幕以降はサッカーコメンテーター、解説者として活躍している。