菅原由勢の衝撃。満を持して示した存在感。右ウイングバックの新たなサバイバルとバリエーション増加への期待感【日本代表】
三笘+中村の相乗効果が1つのヒントに
プレー時間は30分余りだったが、右ウイングバックとしての推進力は特筆すべきものがあった。菅原はもともと右SBが本職ということで「守備的な右ウイングバック」と位置づけられがちだった。 最終予選では相手を押し込む時間が長いことから、森保一監督も堂安律(フライブルク)と伊東を重用。「菅原が試合に出ようと思うなら、3バック右を含めた万能性を磨くしかない」といった見方もされがちだった。 しかしながら、この日の一挙手一投足を見る限りだと、突破力や推進力は2人に見劣りしないものがあったし、シュートのパンチ力はむしろ菅原の方が優っていた。それは今夏に赴いた新天地サウサンプトンでコンスタントにリーグ戦に出ている蓄積によるところが大なのだろう。 加えて言うと、シャドーに回った伊東との共存にも手応えを感じさせた。得点シーンも菅原が右の大外に開いた伊東にいったんボールを預けてインナーラップ。自ら中央を切り裂いてフィニッシュに持ち込む形だった。 それを見ても分かる通り、伊東と臨機応変にポジションを入れ替えながら攻撃を組み立てていく力が菅原にはある。それは堂安とプレーしても十分可能なはず。同じ右ウイングバックを競う構図だった3人が活かし合うという理想形を垣間見せたことは、何よりも大きな収穫だったと言えるのではないか。 森保監督にしてみれば、10月のオーストラリア戦で左の三笘薫(ブライトン)と中村敬斗(S・ランス)の“ドリブラー+ドリブラー”の相乗効果を引き出したことが、1つのヒントになったのかもしれない。 右も堂安と伊東、菅原を共存させられれば、今後の大きな力になるし、戦い方のバリエーションも広がる。その布石を打てたことで、菅原はこの先、ベンチに塩漬け状態になる可能性は低くなるはず。むしろ、彼がスタメンを奪うチャンスも広がってきたという見方をしてもいいのではないか。 「スタメン、スタメンじゃない選手は、試合だったり練習で監督にアピールするのが一番大事。そのうえで監督が決断することなので、僕たちは出た試合で自分の存在価値を示すだけだと思います」と菅原は慎重なスタンスを崩さなかったが、プレミアリーグでレギュラーを張っている選手が試合に出ないのは、あまりにもったいない。ここから彼自身が異なる展開に仕向けていくべきなのだ。 さしあたって19日の次戦・中国戦が中3日で控えている。試合間隔が短い分、次は右ウイングバックのスタメン変更も大いに考えられる。果たしてそこで菅原がどう扱われるのか。まずは動向を注視していきたいものである。 取材・文●元川悦子(フリーライター)
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