大阪・最大遮断時間57分「開かずの踏切」廃止へ 建設から78年の駅舎も歴史に幕
踏切の代わり「自由通路」は自転車が通れるスロープも
今回完成した自由通路は長さ約60メートル、幅約6メートルで、階段とエレベーター、上りエスカレーター、自転車が通れるスロープからなる。 もちろん24時間通行可能で通路部分などには屋根もあるため、これまでに比べ格段に安全・安心して行き来できるようになった。 また、自動車向けの代替ルートは踏切から数百m離れた市道の地下化整備が既に完了しており、こちらに迂回する形となる。
東淀川駅の新駅舎も自由通路と一体で建設
東淀川駅の新駅舎もこの自由通路と一体で建設された。各ホームへのエレベーターやエスカレーターも設置され、自由通路のエレベーターを利用することで、これまでバリアフリールートがなかった駅西側からのアクセスも便利になる。
開業から78年、利用者見守ってきた駅舎
一方で、新駅舎の利用開始に合わせて現在の駅舎はその役目を終える。1940(昭和15)年の東淀川駅開業と同時に建てられた駅舎は、78年間にわたって利用者を見守ってきた。 瓦屋根のこじんまりとした駅舎、改札口とホームをつなぐ地下通路などが時代を感じさせる。利用者も愛着があるようで、取材中も何人かが駅を訪れ、名残惜しそうに写真を撮っていた。
利用者「寂しいけど、便利になるのはありがたい」
駅のすぐ近くに住むという、元国鉄マンの男性(77)は「これまでは列車が来るのが見えてから家を出ても間に合うくらいやったけど、橋上駅舎になったら少し早めに出ないとあかんようになりますわ。ずっと見てきた駅舎がなくなるのは寂しいけど、便利になるのはありがたいね」と話していた。
新駅舎の階段付近には現駅舎の写真を掲示しているが、これも地元の方たちの愛着と、JRからの感謝の表れなのかもしれない。使用開始となる11日朝には、記念のセレモニーも実施される予定だ。新しい東淀川駅も、これまでの駅舎同様に親しまれることを期待したい。 (文/伊原薫/鉄道ライター) ■伊原薫(いはら・かおる)大阪府生まれ。京都大学大学院・都市交通政策技術者。(一社)交通環境整備ネットワーク会員。グッズ制作やイベント企画から物書き・監修などに取り組む。都市交通政策や鉄道と地域の活性化にも携わっている。好きなものは103系、キハ30、和田岬線、北千住駅の発車メロディ。2018年6月には大阪市営地下鉄民営化の経緯を一冊の本にまとめた『大阪メトロ誕生』を出版。