【2024衆院選 本県議員2人減】党派超え課題解決を(10月29日)
今回の衆院選で、本県関係の衆院議員は自民党2人、立憲民主党5人の計7人となった。区割りの見直しで定数が5から4に1減されたとはいえ、改選前の9人から2人減った結果は、議員一人一人の責任の重さが増したことを意味する。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興、歯止めのかからない人口減少など、本県が抱える課題には党派を超えて解決に取り組むよう求めたい。 復興政策を巡っては、自民党の復興加速化本部が予算確保や制度見直しを政府に働きかけ、施策などの実現に大きな役割を果たしてきた。ただ、党が議席数を大幅に減らし、与野党の力関係が変化する中で、今後も従来通りの影響力を保てるのか懸念もある。自民党の2人はともに新人としての若さと行動力を前面に打ち出し、実績を積み上げてほしい。改選によって退いた閣僚経験者2人の穴をいかに埋めていくのかも課題で、参院議員との連携も不可欠と言える。 勢力を拡大した立憲民主党の復興対策本部は、政府に対する発言力が強くなるとの見方がある。本部長を務めるベテラン議員をはじめ、本県から5人が議席を得たのは何よりも心強い。自民党とは緊張感を持ちつつ、政策を磨き合い、施策内容をより充実させることで復興を加速させるよう期待したい。
現在の第2期復興・創生期間は2025(令和7)年度で終了するが、その後の展望は描かれていない。原発の廃炉作業、帰還困難区域の避難指示解除、除染で出た土壌の県外最終処分、福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)の整備などは長期的な視点に立った支援が求められる。復興に対する議員の思いは与野党を問わず同じならば、復興の行方を左右する重要な課題にこそ、超党派で力を発揮すべきだ。 県内小選挙区の投票率は53・93%で、前回の58・01%を4・08ポイント下回り、過去2番目に低かった。区割りの見直しが、候補者と有権者の距離を遠ざける一因になっていないか検証する必要がある。短期決戦となった選挙戦で、候補者の訴えが県民にどれだけ響いたかは疑問も残る。当選者は日頃の活動を通して、県民の期待と信頼を得る努力も欠かせない。(角田守良)