坪単価200万円超?! 新築分譲マンション販売 価格高騰もどこ吹く風の活況呈す 利便性求める需要や投資目的 業者は金利上昇の冷や水懸念
鹿児島市内で新築分譲マンションの販売が増えている。利便性を求める家族世帯や郊外団地から引っ越す高齢者に加え、単身者の需要も高い。資材や人件費の高騰に伴い、販売価格が上昇する中、2024年の販売戸数は約1000戸に上る勢いだ。一方で、販売業者は日銀の利上げ政策による買い控えを懸念。価格を抑えるための工夫を凝らす。 【写真】定期借地を活用した分譲マンションの建設が進む予定地=鹿児島市上荒田町
かみむら不動産コンサルタント(同市)は、建物の完成前に完売する「適正販売戸数」を、鹿児島市の過去の販売状況や人口を基に算出している。近年は年間400~500戸。実際の販売戸数は19年以降、ほぼ毎年500戸を上回り、24年は7月末で既に700戸を超えた。販売予定分を含むと約1000戸に上る見込みだ。 それでも上村邦典代表(72)は「家族世帯や高齢者からの需要は高く、売れ残ることはないだろう」と分析する。利便性の高い鹿児島中央駅や天文館の周辺が特に人気で、中央駅近隣の物件は投資目的での購入も見られる。 新築分譲マンションを手がける竹添不動産(同市)によると、最近は単身世帯からの需要も伸びている。長谷工アーベスト九州支店(福岡市)が販売する鹿児島市内の物件では、定年後に鹿児島へUターンを考える県外在住者や、同市へ進学する子ども用に購入する離島在住者もいるという。 ■■■ 新型コロナウイルス禍以降、資材や人件費が高騰。上村代表によると、今年はマンションの坪単価が200万円を超え、コロナ前と比べ40万円ほど高い。
竹添不動産の竹添寛社長(66)は「一坪あたりの建築費はここ2、3年で50万円ほど上がった。販売価格に反映させないわけにはいかない」と嘆く。部屋の延べ床面積を調整して、3LDKを4000万円台で販売できるよう工夫する。 販売価格を抑える手法として、決められた期間だけ土地を借りる定期借地の活用がある。上村代表は「さら地に戻すための積立金など諸経費がかかる分、価格差は一坪あたり数十万円に縮まるが、土地所有にこだわらない人が多くなれば定着すると思う」と見通す。 ■■■ 日銀の追加利上げは、住宅ローンの金利上昇につながり、販売業者は買い控えを懸念する。 上村代表は「金利が上がれば一時的に需要は落ちる。価格が下がり、需要が回復するという繰り返しになるだろう」と予測する。竹添社長は「金利がどの程度上がるか分からず、買う側は慎重になる。今後は、投資者向けの販売も検討しなければ」と戦略を練る。
枕崎市出身で東京在住の40代女性会社員は同市に住む母のため、病院や交通機関が多い鹿児島市中心部の物件を探す。ただ、今後の金利上昇を考えると熱が冷めつつあるという。「低金利の恩恵があると思っていたので残念。購入しない選択も考えないと」と頭を悩ませる。
南日本新聞 | 鹿児島