蓮舫氏の「選挙違反疑惑」を報じないメディアに思惑はないか
公選法違反では?
2回目の記事は今回の都知事選に関連してのものだった〈「都知事選、事前運動『選挙違反では』の批判を浴びた蓮舫氏の陣営はまったく懲りていなかった」〉。 告示前にもかかわらず、都知事選に出ることを街頭で声高にアピールする蓮舫氏や立憲民主党幹部らの行動は、公職選挙法で禁じている「事前運動」そのものではないかという指摘をした。6月2日の街頭演説が問題視されたことを受け、9日の演説では内容をマイナーチェンジこそしていたものの、演説でのメッセージは相変わらず都知事選での投票を呼びかけていると受け止められても仕方がないものだった。 このニュースのヤフー・コメントの欄には、「エキスパート」として白鳥浩法政大学大学院教授のコメントが最初に掲載されている。 「こうした行動を蓮舫氏を支援する陣営がとるということ自体が、都知事選に対する有権者の関心を喚起することで勝利し、政権交代へとつながる都知事選にしたいという思いの表れといってよいだろう。 これまで立憲民主党を中心とした野党勢力は、4月の3つの補選を皮切りに連続して勝利を収めてきた。その訴えである『政権交代』も現実味を帯びてきているという見方もある。(以下略)」 蓮舫氏らの「思い」がどうであろうと、あるいは政権交代が現実味を帯びようが帯びまいが、法律違反に対しては厳しい目を向けたほうがいいと思うのだが、この論者にそうした観点はないようだ。 拙著『メディアはなぜ左傾化するのか 産経記者受難記』の冒頭で、私は次のように書いた。
「(いわゆる左派メディアは)自分たちのイデオロギーの邪魔になるものは、極力、国民の目に触れさせない、という『ドグマ(教義)』があるのだ。これが報道機関の果たすべき役割だろうか。右だろうが左だろうが、事実の前には謙虚になるべきではないのだろうか」 いま明らかに一部のメディアは、蓮舫氏についてのマイナス情報は流そうとしていないのではないか、という気がしてならない。 目下、蓮舫氏らの「事前運動」疑惑について積極的に報じているのは産経新聞と、あとはスポーツ紙や雑誌、ネットメディアばかりだ。大手新聞社やテレビ局はほぼ無視をしている。 もしも小池百合子氏の陣営が同じことをやっていたらどういう扱いだったのだろうか。あるいは今後、国政選挙で与党の立候補予定者が同じことをやった時も、優しく見逃してあげるのだろうか。
三枝玄太郎(さいぐさげんたろう) 1967(昭和42)年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。1991年、産経新聞社入社。警視庁、国税庁、国土交通省などを担当。2019年に退職し、フリーライターに。著書に『三度のメシより事件が好きな元新聞記者が教える 事件報道の裏側』『十九歳の無念 須藤正和さんリンチ殺人事件』など。 デイリー新潮編集部
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