セ・リーグのMVPは平田勝男ヘッド。あの明るさでチームをまとめたと思います【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】
もうあと2週間もすれば2024年がやってきます。23年は巨人の打撃チーフコーチとして1年間、巨人の優勝のために、何とか努力しました。しかし、結果は阪神がリーグ優勝に日本一まで達成しました。そこで今回はデーブが選ぶセ・リーグMVPを、勝手に年末企画としてやります。 【選手データ】平田勝男 プロフィール・通算成績 プロ野球は、優勝するために1年間頑張るチームスポーツですから、優勝チームからMVPを選ぶべきです。そこでコーチ目線から言うと、やはり23年の優勝には平田勝男ヘッドコーチの存在が大きかったです。めちゃくちゃ明るい方なんです。でも23年シーズン、巨人戦で一度もわれわれの試合前練習時に出てくることはなかったんです。「元気かー!」などと言いながら声を掛けてくれる人なのですが、それがなかったことで、不気味に感じていました。その平田さんがMVPです。 実際にチームの中に入っていないので分からないのですが、すごく全体の輪をうまく保つ役割に尽力されたのかなと感じています。1年間も戦えば、いろいろな部署から、さまざまな不満が出てくるのは当たり前です。「なんだよ!」ってなることも多く、それがたまってくるとチームのバランスが悪くなります。阪神を見ているとそういうのがまったくなかったと感じていました。 それと平田さんは二軍監督も長くやられていて、さらに星野仙一監督時代には監督付きの広報もやられていました。ここを経験したことで、メディアともうまく付き合っていたと思います。巨人、阪神のようなチームは、メディアを敵に回すと大変なことになりますからね。 そこに輪をかけて、明るいし、人情味がある方です。私が西武の編成部時代に鳴尾浜に視察に行ったときです。当時平田さんは二軍監督。「おうデーブ、誰を見に来たんや」と声を掛けていただきました。そのときに素直に「太陽(藤田太陽)と杉山(杉山直久)、桟原(桟原将司)です」と答えると「分かった、たくさん見てくれよな。今日、太陽は投げたけど、明日も投げさせるから」と言って、本当に投げさせてくれました。 平田さんが推してくれた太陽。首脳陣からそういう形で推してもらえる投手なら、性格もいいだろうと思えたので、トレード話が進んでいきました。そういうエピソードもあります。そのときもとにかく明るくて、こちらも元気をもらえる方で、中畑(中畑清)さんに似ていますね。 個人的にはあの方は陽気な欧米人型の人間で、元気というバッテリーが切れない人だと思います。その明るさと、時には厳しい指導で、岡田(岡田彰布)監督と選手、監督と裏方さん、監督とコーチ陣の間をうまく取りまとめたのだろうと思います。それくらい強かった23年の阪神です。 個人的には平田ヘッドコーチがいる限りは、阪神は常に優勝を争う良いチームであり続けると思います。阪神にとって本当に重要な首脳陣の一人だと思いますね。
週刊ベースボール