中国、電子商取引が経済回復を強く後押し
【東方新報】「テクノロジーとイノベーションの急速な進歩により、初期の頃は低価格の日用品や身の回りの小物、あるいはフードデリバリーのようなサービスを得るための便利ツールに過ぎなかった『電子商取引(eコマース)』が、近年では消費経済全体にとってまさに不可欠なものとなっている」、業界専門家はこのように指摘する。 専門家は「中国の消費構造がアップグレードされ、品質に敏感な消費者がオンライン・チャネルを利用して、電子機器、家電製品、自動車などの高額商品や、革新的な技術を含むインテリジェント商品やグリーン商品、良質国産商品を購入するようになった。こうしたことが、これまで輸出に依存していた中国の経済成長を新たにけん引し、景気の下押し圧力が存在する中で、経済安定への新しい道筋を作り出している」と見ている。 北京在住の32歳の金融雑誌編集者・王さん(仮名)は、このトレンドを象徴する一人だ。安売り商戦を繰り広げる昨年11月11日の「双11(ダブル11)」で、王さんは多くのモバイルアプリを使い、ロボット掃除機、自動食器洗い機、スキンケア製品、スポーツウェアなどさまざまな製品を購入した。 王さんは「必要なものはネットで買う。日用品のためにスーパーマーケットや専門店に行くこともなくなった。大幅割引、競争力のある価格、クーポン、セット販売、ライブ販売などなど、これらすべてがオンラインショッピングをスリリングな体験にしてくれる」と話す。 商品物流の効率性、ブランドやeコマース業者の信頼性の向上で、中国のeコマース・プラットフォームは国内の買い物客、特に中・高所得者層の注目の的となっていると、専門家は指摘する。 「5G、人工知能(AI)、ビッグデータ、産業用インターネットなどの次世代情報技術は、新しいタイプのインテリジェントでグリーンな消費財を生み出し、新鮮な消費の成長を促進することに役立っている」と強調する。 「阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)」のオンラインマーケット「天猫(Tmall)」は、この考え方を取り入れて成功を収めている。昨年10月31日午後8時から11月11日深夜まで、「天猫」は243の国内ブランドとそれ以外の159の海外ブランドの402ブランドを電子ビークル(インターネット等の電子的手段)で販売し、国内と海外ブランドのそれぞれで1億元(約20億円)を超える売り上げを達成した。「天猫」は「独身の日」商戦期間中に合計3万8000ブランドの商品を販売し、その売上額は前年比100パーセント以上の大幅増加となった。 中国のもう一つのeコマース大手「京東(JD.com)」は、数週間にわたるプロモーションイベント期間中、60以上のブランドがそれぞれ1億元以上の売り上げの達成を支えた。「京東」における売上額が前年比3倍に増加したブランドは2万社近くに上ったという。 中国のコンサルタント会社「中国互連網経済研究院(Internet Economy Institute)」のシニアアナリストは、「オンラインショッピングは消費を維持するだけでなく、押し上げ、実体経済をより弾力的にすることは、もはや疑いようがないすう勢だ。中国のeコマース企業は、新しいタイプのユーザーを獲得し、ユーザーの忠誠心とリピート率を向上させるため、価格戦略を強化している」と分析する。 また、「アリババグループの卓越したeコマース・プラットフォーム『淘宝(タオバオ、TaoBao)』と『京東』とは、ライブストリーミングをeコマースと統合することで、eコマースの在り方を再定義しつつある。それにより「抖音(Douyin)」や「快手(Kuaishou)」のような動画共有、ライブストリーミング・プラットフォームという新時代の商品販売の挑戦者たちに対抗している」とも述べている。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。