日本国民の6人に1人が糖尿病⁉...気になる人が注目すべき「HbA1c」とは何か
毎年1回は受けることが義務付けられている職場健診。健診結果の異常を示す「*」がついた数値には、実は気にしなくて良いものもあれば、今すぐに再検査を受けなければならないものもある。果たしてあなたは診断結果の本当の意味を理解しているだろうか。 【漫画】くも膜下出血で倒れた夫を介護しながら高齢義母と同居する50代女性のリアル BMI・血圧・尿糖・眼底など項目別にその検査結果の正しい見方を解説した『健診結果の読み方』(永田宏著)より一部抜粋してお届けする。 『健診結果の読み方』連載第17回 『糖尿病も怖いけど...血糖値が去年より急に上がった人が疑うべき「がん」とは? 』より続く
あまり知られていない診断項目
空腹時血糖値は知っていても、「HbA1c」を知らない人は多いと思います。これも糖尿病関連の項目です。読み方は「エイチ・ビー・エー・ワン・シー」が一般的です。 糖尿病関連の検査項目は、血糖値とこのHbA1cで、職場健診では、そのどちらかを入れることが法律で義務付けられています。しかし大半の会社が、両方を入れています。 HbA1cは「糖化ヘモグロビン」とも呼ばれています。ヘモグロビンは、赤血球のなかに大量に含まれる、酸素運搬用のタンパク質です。これに血糖(血液中のブドウ糖)が結合したものが、糖化ヘモグロビンです。 赤血球は骨髄で作られますが、このときすでに、その内部にヘモグロビンが格納されています。この段階では、まだヘモグロビンは糖化されていません。しかし赤血球が血管に出てくると、ヘモグロビンが血液中のブドウ糖に晒されて、徐々に糖化が進みます。
糖尿病の基準値
もちろん血糖値が高いほど、糖化のスピードが上がります。そこでHbA1cの量を測れば、逆に血糖の濃度がどのくらいか推定できるわけです。 赤血球の寿命は約4ヵ月。糖化ヘモグロビンもろとも、脾臓で破壊され、新しい赤血球が骨髄から供給されてきます。そのため糖化ヘモグロビンの寿命は、赤血球の寿命と同じ約4ヵ月と考えられますが、医学的にはもっと短い「過去1~2ヵ月」の血糖値の平均を反映しているとされています。 健診結果に出てくる数字は「全ヘモグロビンに対する糖化ヘモグロビンの割合(パーセンテージ)」です。HbA1cが5.2としたら、全ヘモグロビンの5.2パーセントが糖化していることを意味します。 日本人間ドック学会の基準値は次のようになっています。 また日本糖尿病学会は、HbA1cが6.5以上で糖尿病の疑いが強いとしています。ただし診断には、病院でのより詳しい検査が必要になります。