銘柄選別では「全体相場の動き」をどのくらい考慮すべきか
潮目を読むことは優れた漁師の条件の1つでもある。これは投資の世界にも当てはめることができるのか(写真:アルンコ/PIXTA)
「漁師は潮を見る」という。この格言が言わんとするのは、魚を取るには、個々の魚の動向を探るより、海の全体的な状況から魚のありかを見極めるほうが効果的だ、ということであろう。 これを株式投資に当てはめるなら、以下のように考えることになる。検討している銘柄の株価の変動を、市場の全体的な流れに沿う要素と、個々の銘柄の動きに分解する。回帰分析をご存じの方は、株価の全変動を、市場全体の株価を説明変数とする回帰変動と、それでは説明のつかない残差変動とに分解すると思っていただくとよい。 冒頭の漁のたとえでいえば、回帰変動が潮の流れにあたり、残差変動が個々の魚の動きにあたる。この格言に従うなら、残差変動すなわち個別の値動きよりも、回帰変動すなわち市場と連動した動きを重視せよ、ということになる。 日本の主要な銘柄の多くが、市場の動向に強く連動する性質を持っており、相場が上がるときは各銘柄が押しなべて上がり、下がるときはこぞって下がる傾向が見られる。この特性は、多かれ少なかれ各国に共通に見られる。
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蟹分 解