SNSでの社会的弱者バッシングが横行する4つの理由…「自分よりダメな人を叩けば“溜飲”が下がりますか?」
「自分こそ正論」という考えが他者を傷つける
【理由③】すべてが「他人事」で「自業自得」と考えている 15年ほど前に、日本中で「自己責任論」なるものが流行したことがありますが、その考え方は、今でも日本人の心の中に根強く残っています。 心の病が原因で生活保護を受けている人は、「自業自得」であり、 「自分はそんなことにはならない」と勝手に思い込んで、すべてを「他人事」と考えている人が多いように思います。 仕事が忙しくて体調を壊したり、上司のパワハラによって心の病を患うことは、誰にでも起こる可能性があります。 何の根拠もなく、 「自分だけは平気」とか、 「自分だけは特別」と考えているから、見ず知らずの社会的弱者を、上から目線で叩くことができるのです。 【理由④】自分の意見こそが「正論」だと思っている SNS上で他人を誹謗中傷している人の多くは、自分の考え方こそが「正論」であり、「世間のバカな連中は、なぜこんなことが理解できないのだろう?」という思いから、容赦のないコメントを投稿しています。 自分の意見だけが正しいと思い込み、世の中には多種多様な考え方があり、人の生き方は千差万別……ということが理解できていないのです。 最近では、SNSでコメントを投稿する際に、「この意見は誹謗中傷にあたるため、名誉毀損の可能性があります」という警告が表示される機能が普及しています。 その警告を見て、初めて自分の意見が正論ではなく、単なる誹謗中傷だと気づく人が増えているといいます。 人との比較で自分を考えたり、自分より下の人を見つけて溜飲を下げる行為は、自分のマインドをマイナスに向かわせます。 こうした発想を続けていても、自分の生活が豊かになることも、人生が楽しくなる こともありません。 相手が得をして、自分が損をしたら負け……という考え方を、心理学では「勝ち負け思考」といいますが、勝ち負けや損得勘定で物ごとを判断していると、次第に自分を見失うことになります。 こうした考え方や発想は、一刻も早く改めることが大切です。 文/和田秀樹 画像/shutterstock ---------- 和田秀樹(わだ ひでき) 精神科医 1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、浴風会病院精神科、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、立命館大学生命科学部特任教授、和田秀樹こころと体のクリニック院長。老年精神科医として、30年以上にわたり高齢者医療の現場に携わっている。『80歳の壁』など著書多数。 ----------