今年の恵方「東北東やや東」に向かって射る
長野県下諏訪町萩倉 伝統の「山の神祭り」
下諏訪町萩倉で17日朝、一年の平穏無事を祈る小正月の伝統行事「山の神祭り」が行われた。住民らが「恵方(えほう)」と書いた小さな和紙で的を作成。今年の恵方に当たる「東北東やや東」の方角に的を掲げて矢を放った。集落の伝承を研究している大学院生も行事に加わった。 【写真】今年の「恵方」に向かって矢を放つ参加者 祭りは山仕事の安全やイノシシなどの獲物が捕れるよう祈ったことなどが始まり。毎年1月17日に催している。午前6時ごろ、皆で「山の神さま三世のご恩」と唱えながら狙いを定め、一斉に柳で作った弓を引いた。 集落の伝承を研究する「むらやしプロジェクト」の一環で、滋賀県立大と早稲田大の大学院生ら6人も参加。滋賀県立大の村上龍紀さん(23)は「古い形のまま残っている祭り。地域の人々の思いがこもっている」。早大の渡辺大志准教授(43)は「祭りを伝える人材がいて文化的な豊かさを感じた」と話した。 弓を引き終えると、参加者はたき火を囲み、木遣(や)りで祭りを締めくくった。町内会長の羽田明さん(62)は「健康で無事に過ごせるよう祈った。学生が祭りに興味を持ってくれてうれしい。若い人が祭りを継ぐきっかけになればいい」と期待した。 山の神祭りは下諏訪町内の他地区でも行われた。