日産「R32EV」は、R32 GT-Rの走りの楽しさをEVでどこまで再現できるかの挑戦
千葉県の幕張メッセで開幕した「東京オートサロン 2025」(会期:1月10日~12日)。日産自動車はスポーツカーを展示する「スポーツカーエリア」と、多彩なカスタムカーを展示する「カスタムカーエリア」の2エリアを用意する。 【画像】新旧2台のエクストレイルで“Chill”を感じる世界感を演出した「X-TRAIL unwind concept」「X-TRAIL remastered concept」 コンセプトモデルとして、新旧2台のエクストレイルで“Chill”を感じる世界感を演出した「X-TRAIL unwind concept」「X-TRAIL remastered concept」、キャラバンをベースに災害時に役立つ「DISASTER SUPPORT SPEC.(ディザスター・サポート・スペック)」を出展するとともに、ピストンリング、コンロッド、クランクシャフトなどに高精度重量バランスエンジン部品を採用し、クリヤー塗装を施したNISMO専用カーボン製エンジンフード(NACA ダクト付)を特別装備する「NISSAN GT-R NISMO Special edition」や、「フェアレディZ」2025年モデルの北米仕様などを展示。 その中で異彩を放つのが、前期型のR32スカイラインGT-R(BNR32)をベースにEV化した「R32EV」だ。 日産には「GT-R」や「フェアレディZ」などが持つ走りや運転の楽しさ、パワフルなエンジンの魅力に憧れて入社した多くの技術者がいる。そうした技術者の「最高に好きなクルマに、今、自分が最高と思う技術を掛け合わせたら、世の中の人がもっとワクワクするクルマを作れるのではないか」との思いをきっかけに、今回のR32EVプロジェクトがスタートした。 ベースモデルは日産の技術者がこよなく愛し、今もなお世界中のファンから高い支持を得ているスカイラインGT-R(R32)。そこに最新電動化技術を織り込むことで、世界に1台のEVコンバージョンコンセプトモデルが誕生した。 パッと見はフルノーマルのR32 GT-Rだが、BEV化により車重が増えたことを受けてR35 GT-R用のブレーキキャリパー&ローターがおごられるとともに、それに合わせてホイールを18インチ化(タイヤサイズは245/40R18)しており、当然エンジンがないのでマフラーもなし。 大きく異なるのは室内で、リーフ NISMO RC_02のバッテリを搭載するため後席をなくし、2名乗車仕様とした。シートはレカロ製のバケットシートとなるが、表皮カラーを純正シート風とし、液晶ディスプレイメーターも純正風、レバーまわりもR32 GT-Rのシフトノブやブーツを再現したものにするなど、極力当時のイメージを崩さないように作られている。またRB26DETTのサウンドをスピーカーから流す専用サウンドシステムを装備し、アイドリングの音や空吹かししたときの音、パドルシフトでシフトチェンジしたときのエンジン音の変化なども再現しているあたりにこだわりを感じる。 パワートレーンはRB26DETTに代わってツインモーター仕様の4WDモデルとなり、モーター1基あたりの最高出力は160kW、最大トルクは340Nmとした。これでRB26DETTの加速感を再現する、というのが注目点で、R32 GT-Rを運転する楽しさを30年後、100年後の人たちに残していきたいとの想いがこのクルマにはある。単なるEVコンバージョンではなく、R32 GT-Rの走りの楽しさをEVでどこまで再現できるかという挑戦なのだ。 なお、1月10日に日産はR32EVのプロジェクトムービーを公開しており、日産テストドライバーを務めた“現代の名工”加藤博義氏が試乗するようすなどを収録している。興味のある方はぜひご覧になっていただきたい。
Car Watch,編集部:小林 隆