8代目菊五郎襲名の尾上菊之助は立役と女形を兼ねる役者 祖父、父、岳父が人間国宝で「ナウシカ」など新作でも存在感
来年5月に8代目尾上菊五郎を襲名することが発表された尾上菊之助は、祖父の尾上梅幸、父の尾上菊五郎がいずれも人間国宝という名門・音羽屋のプリンス。音羽屋伝統の「兼ねる役者」で立役と女形の両方で活躍している。 18歳だった1996年にお家芸である「弁天娘女男白浪」の弁天小僧で5代目菊之助を襲名。現市川團十郎が市川新之助、現尾上松緑が尾上辰之助だった頃には、「平成の三之助」として脚光を浴びた。気品あふれる美しさが魅力で、「助六由縁江戸桜」の揚巻、「籠釣瓶花街酔醒」の八ツ橋など女形の大役で観客を魅了している。 近年は立役でも目覚ましい成果を残している。22年10月の国立劇場「義経千本桜」で平知盛、いがみの権太、佐藤忠信実は源九郎狐という「立役の卒業論文」と言われる大役3役を見事に演じきり、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した。 「風の谷のナウシカ」「ファイナルファンタジーX」など新作歌舞伎にも果敢に挑戦し、新たな歌舞伎ファンを獲得。テレビドラマはTBS系「グランメゾン東京」、NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」などに出演している。 プライベートでは13年に人間国宝の中村吉右衛門さん(21年死去、享年77)の四女・瓔子(ようこ)さんと結婚。1男2女をもうけ、長男は同じタイミングで6代目菊之助を襲名する尾上丑之助だ。吉右衛門さんが亡くなった際には「尊敬する岳父は芸の模範。もっと教えを請いたかった…」と涙ながらに語っていた。
報知新聞社