【漫画】書店の本1冊が万引きされたら、同額の本50冊売らなければ損失になる…書店の裏事情を描く漫画に共感の声「万引き消えるべし」「絶対に許してはいけない」
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、コミックウォーカー、ニコニコ漫画で連載されているいずみせらさんの漫画「まちの本屋の御書山さん」。 【漫画】書店の"万引き事情"が深刻すぎる…元書店員の作者が描くリアルな漫画が「共感の嵐」と話題に 作者であるいずみさんが本作の第8話を「書店の万引き事情がやばいって話」として5月24日にX(旧Twitter)に投稿したところ、9,000件を超える「いいね」が寄せられた。本記事ではいずみせらさんに、作品のこだわりなどについてインタビューをおこなった。 ■書店を悩ませる万引きの実態とは… 主人公・不破(ふわ)は頭脳明晰で生真面目な大学生。家庭教師のアルバイトをしていたが、とある事情でクビになってしまう。後日訪れた書店で店員の御書山(ごしょやま)と出会ったことをきっかけに、現在は書店のアルバイト店員として御書山とともに働いている。 ある日不破が作業で戸惑った際に、御書山の先輩・森戸から優しいアドバイスをもらった。個性的な従業員が多い中、柔らかい雰囲気の森戸に対して不破は好ましく思っている。しかし森戸は、本の万引きの話になると怒りのあまり人格が変わる女性だったのだ。不破が御書山から”万引き防止ポスター”を店内に貼るよう頼まれたことをきっかけに、書店の万引き事情の話題になった。 森戸いわく、書店が本1冊を販売した際の利益は”ほんの22%”ほど。さらに22%の利益から家賃・人件費などの経費を差し引くと、純利益は20円くらいだというのだ。1冊盗まれると、”同額の本を50冊売らなければ純利益を補えない”というシビアな原状を語る。さらに、本の在庫の数が合わなくなるなどの被害もあるという。 そんな話をした直後、不破は平積みされたコミックの下に数枚の”防犯タグ”が置かれていることに気が付く。恐る恐る森戸に相談すると、森戸は優しい笑顔のまま怒りの一言を口にしたのだった。 本作を投稿したX(旧Twitter)には「書店で働いてるけどほんとに万引き多い…」「万引き消えるべし」「共感の嵐」「絶対に許してはいけない…」「万引きが小売店の潰れる原因になり得るのかはみんな理解した方がいい」などの共感の声が多数寄せられている。 ■「私が初めて万引き犯を捕まえたときのことを題材としています」元書店員の作者・いずみせらさんにインタビュー ――「まちの本屋の御書山さん」を創作したきっかけや理由があればお教えください。 担当さんとの打ち合わせの中で、なにかお仕事を題材にして漫画を描けないかとなったとき、思いついたのが書店でした。私自身、8年間書店員として働いていましたので、ネタや伝えたいこともいろいろあるなと思い、本作を描きました。 ――本作「書店の万引き事情がやばいって話」を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。 本作の話はほとんどが実体験に基づいています。今回の万引きにまつわるエピソードは、私が初めて万引き犯を捕まえたときのことを題材としています。絵はかなりデフォルメしていますが、内容はなるべくリアルになるよう描きました。 ――「書店の万引き事情がやばいって話」の中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。 10ページ目の書店の利率について解説したコマです。万引きは犯罪であり、法的にも倫理的にも許されない行為ですが、その万引きが具体的に書店にどれくらいのダメージを与えるかを解説したのがこのコマです。実際、万引きが原因で閉店した書店も多くあります。みなさまが書店に行った際、もし怪しい動きをしている人を見かけたら、コソッと店員に教えてもらえたら嬉しいです。 ――個性豊かなキャラクターが魅力のひとつになっている本作ですが、いずみさんの中で思い入れが強いキャラクターがいれば理由と共にお教えください。 御書山と言いたいところですが、不破です。主人公の割にクセのあるキャラクターなので、積極的に場をかき回してくれたりして作者的には話が作りやすくてありがたいです。(今回の話では聞き役に徹してるので比較的大人しいですが、他のエピソードでは大暴れていたりするので、気になった方はぜひ別の話も読んでいただきたいです!) ――今後の展望や目標をお教えください。 引き続き、書店にまつわるアレコレを書いていきたいです。 ――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。 電子書籍やネット販売は便利で良いですが、実店舗(リアル書店)も良いですよ!ネットだと自分が普段意識している分野の中から本を探してしまいがちですが、実店舗は実物が陳列されている分、思いがけず自分の意識の外にある分野から興味深い本を見つけることができます。特に目的を決めず、ぼんやりと本棚を見つめる。するとたまに「背表紙と目が合う」瞬間があるんです(本当に)。そういう購買経験は、実物を大量に陳列している書店だからこそできることだと思います。気になった方は今度の休日にでも、最寄りの書店に寄ってみてください。楽しいですよ!