センバツ高校野球 東海大菅生、初戦突破 三回、打線つながり逆転 /東京
第95回記念選抜高校野球大会第5日の22日、初戦となる2回戦に臨んだ東海大菅生は城東(徳島)を5―2で振り切り、センバツで2大会ぶりの勝利を挙げた。三回に長短打を集めて一気に逆転し、4人の投手リレーで追加点を許さなかった。次戦は大会第9日第2試合(26日午前11時開始予定)の3回戦で、クラーク国際(北海道)―沖縄尚学(沖縄)の勝者とベスト8をかけて対戦する。【加藤昌平、井上知大】 序盤はプレーに硬さが見られた選手だったが、1点を追う三回に打線がつながった。 1番・沼沢梁成(3年)が内野安打で出塁すると、2番・大舛凌央(同)も続き、無死二、三塁。得点を期待する応援団の声援がひときわ大きくなる中、3番・酒井駿輔(同)が「絶対にランナーを還すぞ」とバットを振り抜くと、右中間を破る適時三塁打に。一気に逆転に成功した。酒井の父寛さん(45)は「駿輔が好きな『ストロングハート』という言葉通り、しっかりやってくれた」と笑顔を見せた。 先発した宮本恭佑(2年)は、試合前にプロ野球ヤクルトで活躍した父慎也さん(52)から「楽しんで自分のピッチングをしてこい」とメールで励まされマウンドに上がった。直球主体の力強い投球で2イニングを投げきると、三回から島袋俐輝(3年)が継投。直球と変化球を織り交ぜて好投し、父卓也さん(44)は「家族も甲子園に連れていくと約束してくれた。それが現実になってうれしい」と語った。 この日、スクールカラーの青と白の服や帽子でそろえたスタンドの応援団は、ヒットが出るたびにメガホンをたたくなどして選手を後押しした。応援団長の古川拓未さんは「選手、保護者、生徒全員で応援して価値ある一勝を取りたい。(甲子園で)初めての応援に、わくわくが止まらない」と声援を送った。 投手陣は七回に末吉陽輝(同)がつなぎ、八回から登板したエースの日当(ひなた)直喜(同)は「真っすぐが打たれるようでは全国では通用しない」と140キロ台中盤の直球で押す気迫の投球で、相手打線を抑え込んだ。チームは集中打と4投手の継投で、初戦を突破。目標の日本一に向けて、歩みを進めた。 ◇勝利を後押し ○…東海大菅生の吹奏楽部がアルプススタンドに伸びやかな楽曲を響かせ、チームの勝利を後押しした。同部は全日本吹奏楽コンクールに2022年度まで4大会連続で金賞に輝く名門。この日は、新型コロナウイルス感染拡大が始まった20年以降、初めて甲子園での生演奏で、新曲の「オジー自慢のオリオンビール」などを披露した。部長の佐藤英司さんは「選手が力を発揮できるよう全力で演奏したい」、野球部の渡部奏楽主将らとクラスメートでホルン担当の旦晃紀さんは「ようやくできた野外の生演奏は気持ちいい」と笑顔を見せた。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇4投手を強気にリード 東海大菅生・北島蒼大(そうた)捕手(3年) 試合の入りが難しい大会初戦だったが、投手4人を強気にリードし、チームを勝利に導いた。 試合前、投手たちの緊張を見越して「思い切り真ん中に投げてこい」と声を掛けた。先発の宮本恭佑(2年)には攻守が交代するたびに「もっと自信を持って投げてこい」と背中を押した。各投手の持ち味を引き出し、三回以降はスコアボードにゼロを並べた。 打撃力を買われて新チームから正捕手のマスクをかぶったが、それまでは本格的な捕手の経験はなかった。不安はあったが、寮で同学年の日当直喜(3年)と配球を勉強したり、自主練習に積極的に取り組んだりして着実に力を付けた。 好きな言葉は「強気」。試合後、その言葉通り、「真っすぐで押したからこそ、相手が詰まって打ち取れた。投手にも自信が付いたと思う」と語った。副主将も務め、チームを引っ張る責任感も強い守備の要。次戦以降もチームの勝利に貢献していくつもりだ。【加藤昌平】 〔多摩版〕