大手証券社入り辞退→プロ生活「後悔ない」 38歳で逝去…元J選手が語った「人生のif」【コラム】
プロか、サラリーマンか…後悔なき生き方を選び続けた男
「それが……全然ないんですよ」 これが、本人の回答だった。 「プロになった時もよく聞かれたんですけど、周りが思っているほどサラリーマンに執着していなかったんです。フロンターレから話が来た時も即決でしたから。それに自分、サッカー好きですよ……サッカー好きに見えないんですかね?」 そう言って、はにかんでいた。 「サッカーが大好きで生きてきたのに、それを生業にできる道で何を迷うことがあるんですか」と、柔らかな口調の言葉の中から、そう問いかけられたように聞こえた。 そして、その後に続けてくれた言葉も忘れられない。 「もし就職していたら、きっとサッカーがやりたいと思っただろうし、もしプロになって試合に出れなかったら、サラリーマンになっていれば……と思うものですよね。だから、人生ってどっちに行ってもその道で頑張れば、きっと後悔はしないんと思うんですよ。自分のやりたいほうをやればいい。なので1回も後悔したことはないです」 どちらの道に進んでも、その道で頑張れば後悔はしない。彼はそう言い切っていた。だから、横山さんとはどんな選手だったのかと思い出す時、自分にはこの時の風景と言葉が蘇る。38歳の若さで生涯を終えたが、そう言い切れるような生き方を選び続けた男だったのだと思っている。 新生活が始まった4月。新社会人や学生の中には、もしかしたら、自分が描いていた未来とは違ったり、うまくいかずに立ち止まって、人生の選択に悩んでいる人もいるかもしれない。そんな時は、横山さんが残してくれた言葉を、頭の片隅で気に留めてもらえると幸いである。
いしかわごう / Go Ishikawa