デビューからもう5年、まだ5年。快進撃を続ける河合優実が胸に秘めていた“ある国”への思い
撮影の浦田氏からかけられた言葉とは
――河合さんが出演した『あんのこと』と『PLAN 75』はどちらも社会の片隅で生きる人に焦点を当てた映画であり、撮影の浦田秀穂さん、美術の塩川節子さん、照明の常谷良男さんなどのスタッフも共通していますね。 はい。でも実は『PLAN 75』では数日間しか現場にいなかったので、スタッフの方とコミュニケーションを取る余裕がそこまでなかったんです。でも『あんのこと』で改めてご一緒して、美術部、撮影部、照明部などのみなさんが本当に丁寧な仕事をしてくださった。素晴らしいなと思う日々でした。 打ち上げの時に、撮影の浦田さんから嬉しい言葉をいただいたんです。杏を演じるにあたってテストと本番とでお芝居が変わってしまうときがあったのですが、浦田さんが「河合さんが計画したものではなく感じたものを出そうとしているのが分かったから、できるだけ動きを決めずに、毎回最初に出てくる動きを撮ろうとしていた」ということを言ってくださって。 その言葉を聞いて、本当にチームでこの映画を作ったんだなという実感を得られました。素晴らしいチームでした。 ――『PLAN 75』もカンヌ国際映画祭のある視点部門に入選していましたが、河合さんご自身は今回(『ナミビアの砂漠』)での参加が初めてになりますね。何が楽しみですか? もう全部楽しみすぎて、毎日頭の中がお花畑みたいです(笑)。海外の映画祭は、出演者として参加するのは初めてなんです。スペインのバスク地方で短編映画の撮影をしたときに、サン・セバスチャン映画祭に行ったことはあって、海も古い町並みもご飯も最高だったのですが、フランスは初めてなんです。自分が出た映画が上映されることはもちろん、世界中の人が同じ映画を楽しむ空気も早く味わいたい。
あの語学アプリでフランス語を勉強中!
――海外へ出るのはお好きですか? 好きですね。 ――もしお休みが取れたら、どこに行きたいですか? どこでも行きたいけど……ラオスにずっと行ってみたいと思っているんです。 ――数ある国のなかから、なぜラオス? 高校の友達にラオス育ちの日本人がいて、その子の影響が大きいですね。いつも「みんなベトナムとかカンボジアには行くのに、ラオスのことは誰も知らない」って言っていて……(苦笑)。その子からラオスの魅力や土地への想いをいつもたくさん聞いていたので、高校の頃からずっと胸にある国です。 ――語学もお得意でしょうか? 得意ではないんですが、勉強するのは好きです。今、Duolingoという語学学習アプリでフランス語の勉強をしているんです。まだ「Bonjour, Je m’appelle Yuumi」くらいしか言えませんけど(笑)。 ――では最後に、もし無人島に好きな映画を1本だけ持っていけるとしたら、何を選びますか? 今の気分は、『ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢』(2008)というドキュメンタリー映画ですね。ミュージカルの「コーラスライン」が大好きで、そのブロードウェイでのオーディションを追ったドキュメンタリーなんです。 ――そういえば演技の世界を目指すきっかけになったのも、「コーラスライン」だったそうですね。 はい、大好きなんです。すごく思い入れがあって。確かサントラを聴いたのが最初で。それから舞台を観に行って、もう大好きになってしまって。ダンスは以前からやっていたんですが、「コーラスライン」をきっかけに演じてみたいと思うようになりましたね。 ――「コーラスライン」自体にも映画版がありますが、そちらではなくドキュメンタリー映画がお好きなんですね。無人島ではそれしか観られないけど、本当にこの作品でいいですか(笑)? 大丈夫です。いろんな人の人生が詰まってるから、いいかな、と思って。 ――確かに飽きないかも! 実際に持って行ったら「間違えたー。これじゃなかった」って思うかもしれないですけどね(笑)。 河合優実(かわい・ゆうみ) 2000年12月19日生まれ、東京都出身。2019年にデビュー。主な出演作は映画『サマーフィルムにのって』『由宇子の天秤』『PLAN 75』『少女は卒業しない』、ドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS系)など。ドラマ「RoOT / ルート」(テレビ東京ほか)で地上波ドラマ初主演を務めた。待機作には劇場アニメ『ルックバック』(6月28日公開)がある。
石津 文子