過去30年のデフレ終焉へ、2024年は日本社会の大転換点に!“良いもの安く”の価値観は早めに捨てるべき理由
シンプルに言ってしまうと、これまでの時代は、「(1)価格が劇的に安く品質も悪い商品」「(2)リーズナブルな価格で品質の高い商品」「(3)高品質で価格も高い商品」という3つのカテゴリーが存在していましたが、金利や物価が上昇する時代には、(2)のカテゴリーが成立しにくくなり、多くの製品やサービスが(1)と(3)に二極分化していくことになります。 変化にうまく対応できた企業は、従来以上に利益を上げることができ、そこで働く従業員の賃金も上昇することになります。一方、変化に付いて行けず、従来型の製品やサービスに固執していると、収益が悪化し、従業員の賃上げも進みません。私たちの賃金は、自身が勤務している会社がどれだけ新時代に対応できているのかによって変わってくることになります。 これは企業経営や賃金という観点での話ですが、私たちは労働者であると同時に消費者でもあります。製品やサービスのカテゴリーが、高級品と安物に2極分化するのだとすると、日常的に購入する製品やサービスについても、今まで以上に吟味する必要が出てくるでしょう。 これまでと同じクオリティを維持したいのであれば、出費が増えることになりそうですし、逆に価格を重視すると、品質を犠牲にしなければなりません。これまで以上にコストパフォーマンスを意識し、上手に買い物をしないと、生活のレベルを下げてしまいます。 金利がゼロの時代というのはデフレの時代でもあったわけですが、かつての日本は「物価は上がらない」「良いものがいくらでも安く買える」という価値観が絶対でした。しかし、経済学的に見るとこれは異常事態であり、永久に続くことはあり得ません。 来年からはそうした流れが大きく変わる可能性が高まっており、私たちは価値観を変えていく必要がありそうです。 商品やサービスの値段が上がるのは、消費者にとって良くないことですが、質の良いものにはしっかりとお金を投じるという商習慣が確立すれば、企業の収益力が高まり、結果的に賃上げも進みます。結局、回り回ってお金は私たちのところに返ってきますから、値段が上がることは一方的に悪いこととは考えない方が良いでしょう。 まずは目の前のことから始めてみるのが良いと思います。 年末年始に家族や親戚が集まる時には、ちょっとだけ贅沢をして、品質が良く、美味しいものを食べてみてはいかがでしょうか。こうした小さな行動の積み上げが、最終的には大きなお金となって経済を動かしていくことになります。
加谷 珪一