【解説】電気料金値上げへ 早くも“真夏日”で今年の夏はピンチ? 値上げいつまで
■政府の「電気料金支援」 9月には半額に 10月以降の延長はまだ決まらず
残念ながら、自由料金の単価も東京電力は1.4%など、規制料金に合わせてさらに電力会社が上げるところが多くなっています。東京電力の規制料金プランを「標準的な使用量の家庭」でみてみると、来月の使用分から規制料金プランが値上げになりますが、値上げ前と比べて881円の値上げとなっています。月額で6809円だった家庭は7690円になります。 ただし、この金額にはカラクリがあります。この7690円は、政府が電気料金を抑えるための補助金分などを割引した後の金額になっています。政府が行っている「激変緩和措置」という電気料金の支援分がもし無かったら、9510円になる計算です。 この政府による電気料金の支援は8月使用分まで続きますが、9月には支援額が半分になります。さらに10月以降は、これが延長されるかどうか、まだ何も決まっていません。
■「柏崎刈羽原発」6、7号機 再稼働できなければ値上げの可能性も…
もう一つ注意なのが今回、東京電力が値上げの申請にあたって、現在も運転を停止したままの「柏崎刈羽原発」6、7号機の再稼働を前提としていることです。ただ、この「柏崎刈羽原発」はテロ対策の不備が相次いだことなどを受けて、原子力規制委員会から“運転禁止”の処分を受けていて、17日もその改善が不十分だとして、運転禁止を解除せずに検査をさらに継続することが決まりました。 予定通りに再稼働できるかどうかが見通せない状況で、もし再稼働ができなければ、さらなる値上げにつながる可能性も残ります。
■経済評論家「料金が下がってくる可能性は十分ある」
これから夏に向けて、心配な電気料金の値上げが一体いつまで続くのか、経済評論家の加谷珪一さんに話を聞きました。加谷さんは、「今後も電気料金がずっと上がり続けるということではない」といいます。「原油価格などが下がれば今後、料金が下がってくる可能性は十分ある。一時期に比べると原油価格は少し落ち着いてきたため、今後は去年のように、毎月のように値上げが続く展開は避けられるかもしれない」ということです。 ◇ 17日は急な真夏日と猛暑日に焦った人も多かったと思いますが、火力発電に頼る日本では、燃料費高騰にともなう電気代の値上げが避けられない構造です。これを機に日本の電力をどうまかなっていくのか、補助金頼りではなく中長期的な対策についても考えていく必要があると思います。 (2023年5月17日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)