オスカー・ケネディ“ジェイミー”らクルーが「クジラ」と激突…仲間を救うべく立ち上がる<WRECK/レック 最終回>
オンライン動画配信サービス「Hulu」にて、全話独占配信中のHuluプレミア「WRECK/レック」シーズン1。最終回となる第6話では、サクラメント号の裏側で行われていた“娯楽”の実態が明かされ、ジェイミー(オスカー・ケネディ)たちが立ち向かう様子が描かれた。本記事では、第6話の内容を考察と共に振り返る。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】後ろ姿も恐ろしい…船内に佇む“刃物を持ったアヒルの着ぐるみ” ■「WRECK/レック」とは 本作は、主人公が“刃物を持ったアヒルの着ぐるみ”に追い回されるスラッシャーコメディドラマ。2022年10月にイギリスの「BBC Three」で放送され、批評サイトでオーディエンススコア96%という高評価を獲得している。 物語では、消息を絶った姉・ピッパの真相を突き止めるべく、弟・ジェイミーが豪華客船「サクラメント号」に新人クルーとして乗り込み、真実を追い求めていく。 キャストには、主人公のジェイミー・ウォルシュ役を、イギリスで子役時代から活躍しているオスカー・ケネディが演じる。ジェイミーと同じ新人クルーで、何かと手助けをしてくれる同僚ヴィヴィアン・リム役には、ドラマ「ベイカー街探偵団」で探偵ビー役を演じたザディア・グレアムが抜擢されている。 また本作のクリエイター兼脚本家は、2023年に「世界を変える LGBTQ先駆者10人」の1人に選出されたライアン・J・ブラウン氏が担当。物語に盛り込まれた“多様性”にも注目だ。 ■ヴェローラム社で長年続く、VIP客・クジラのための“娯楽”とは… ジェイミーとオリーに“殺害部屋”を見られてしまったヴェローラム社の代表・アランは、1893年から続く伝統的な儀式について得意げに語り出す。 船のVIP客(通称・クジラ)は、乗船後1週間でターゲットを選び、クジラ自身に殺害の道具を選ばせ殺害が執り行われる。その様子は別室で他のクジラによってモニタリングされており、アランはこれを“娯楽”と表現した。 かつてピッパが追い込まれたのはサムと親しくなり秘密を知ってしまったからで、ダニーもまた、元恋人であるピッパから秘密を聞き、始末されてしまったのだった。 そしてアランはサムがアヒルの着ぐるみを着て殺人を犯したことについて、「人の目を見て殺せないからだ」と馬鹿にし、あろうことかその場でサムを刺し殺してしまう。 その後なんとか脱出したジェイミーとオリーは、クルーたちが集うパーティー会場へ行き、自分がピッパの弟であることを明かしたうえでヴェローラム社の真実をすべて暴露。そして捕らえられたヴィヴィアンを始めとするクルーたちを救うため、一緒に戦う仲間を募った。 すると最初は疑心暗鬼だったクルーたちも、これまでの不自然な連続死に違和感を覚え、ジェイミーたちに賛同し始める。 一方、ヴィヴィアンをターゲットに選んだ“クジラ”であるリリーは、アランと面談をしたうえで殺害に使う武器を選び、今夜実行することを決めるのだった。 ■真実を知ったジェイミーはクルーと共に立ち上がる ジェイミーに賛同したクルーたちは一致団結してカレンや航海士に抗議に行くが、「解散しないと実力行使する」と脅され何人かは逃げ出してしまう。しかしオリーがフィリピンマフィアたちを呼んできて、電ノコで隔てられた扉を破壊するなど、両者は激しい攻防を繰り広げる。 その様子を見てカレンはアランのもとへ行き、「争いから撤退して、部下を避難させたい」と頼み込むが、アランから「君は不要だ」などと侮辱されてしまう。 一方ジェイミーは攻防の最中、ヴィヴィアンを助けるために1人で隠し通路に入る。そしてヴィヴィアンの居場所を探す途中、カレンに遭遇。てっきり戦闘になるかと思いきや、カレンは「いい戦士は引き際を知ってるんだ」と言い、ヴィヴィアンが監禁されている部屋の場所をジェイミーに教えるのだった。 こうして、リリーに殺されそうになっていたヴィヴィアンのもとに駆けつけたジェイミー。その瞬間、ヴィヴィアンは反撃に出て、リリーは手に持っていたチェーンソーで返り討ちにあってしまう。 その後ジェイミーとヴィヴィアンは、クジラたちとアランがいる部屋へたどり着く。アランは「君は“大海の一滴”。姉さんと同じだ。何の価値もない。無力な存在だ」と言って余裕な様子だったが、そうこうしている間にロージーやフィリピンマフィアなど、クルーの仲間たちたちがやって来る。こうして一気に形勢逆転となり、クルーたちは無事勝利を収めるのだった。 サクラメント号での戦いは終わったものの、ジェイミーとヴィヴィアンはヴェローラム社に償わせるために「これからも一緒に戦う」と誓い合う。そしてラストシーンでは、遠くの場所からサクラメント号を撮影するピッパの姿が映し出されて、物語は幕を閉じた。 ■シーズン2ではピッパの活躍が期待できる? 主人公が姉の行方を探す中で、大きな闇が暴かれていった本作。富裕層たちが何の罪もないクルーたちをターゲットにして殺人を犯すという衝撃的な内容が描かれたが、一体なぜこういった“娯楽”がおこなわれるようになったのだろうか。 ヴェローラム社の代表・アランは、作中でクルーのジェイミーについて「何の価値もない」と言っていたことから、アランやクジラたちはクルーのことを“殺しても問題ない、価値のない人間”と思っていたのかもしれない。 ストーリーとしては全編を通してコメディ要素がありながらも、次々とクルーたちが殺されていく緊迫感や、ジェイミーたちが徐々に真実に近付いていく、テンポの良い展開となっていた。ネット上では「ナイフを持ったアヒルの着ぐるみが頭から離れない」「想像以上にスケールが大きくてめちゃくちゃ面白かった」など称賛の声が寄せられている。 ちなみに本作のラストで、ジェイミーとヴィヴィアンが「これからも一緒に戦う」といった内容を話していたため、物語には続編が用意されており、またラストシーンでピッパが登場したことから、シーズン2に絡んでくることも予想される。 ジェイミーが話していた通り、ヴェローラム社の悪行を消滅させるまで、この物語は終わらないのかもしれない。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部