寺社の入場料に値上げの余地?財務省が示唆した理由
文化財を保有する寺社が観光客向けの整備を自己負担するとすれば、その資金を賄うためには入場料の値上げも一つの方法となる。しかし財務省担当者が言うように「国は寺社などに入場料を上げてほしいと言える立場にない」。そこで、国は観光向けの整備費用を自己負担する寺社を優遇する考えを示した。例えば、寺社が自己負担で外国人観光客向けの案内板やパンフレットなどを整備する場合、国はその寺社の文化財の保存や修理事業を他の文化財に優先して支援する優遇措置をとるという。
文化財「保護」の観点からも値上げの動きが
財務省は「寺社の入場料を上げてくれと言っているわけではない」と否定するものの、今後観光のための整備費用を寺社が自己負担する動きが求められることになれば、入場料を値上げせざるをえなくなる寺社も出てくるかもしれない。世界最古の木造建築、法隆寺(奈良県斑鳩町)は昨年1月、文化財の維持管理という理由で、22年ぶりに拝観料を1000円から1500円に値上げした。寺社は文化財の維持管理という観点からも入場料の値上げの圧力にさらされており、新たな負担が求められた場合、寺社や観光にどのような影響が生まれるかは未知数だ。 (中野宏一/THE EAST TIMES)