東京チョコレートサロン2024開幕。9月22日(日)まで開催
カイピリーニャのチョコレートは日本初上陸
9月21日(土)から、東京チョコレートサロン2024が開幕した。9月22日(日)まで渋谷ヒカリエにて開催される。 東京チョコレートサロンは、国内外の様々なチョコレートに出会い、体験できる、チョコレートファンのためのイベント。 会場に並ぶ約50社のブースには、カカオの産地にこだわったビーン・トゥ・バーチョコレート、ご当地食材を使ったご当地チョコレートなど、個性的なアイテムが並ぶ。 カカオの生産地に実際に足を運んで生産者とダイレクトにコミュニケーションをとりフェアトレードを行う会社や、代理店を通じてカカオ豆を取り寄せていても原料であるカカオの個性を最大限に引き出すチョコレートづくりに取り組んでいる会社など、チョコレートに対する愛情や情熱の温度の高い出展者ばかりであることも、このイベントの特徴といえそうだ。 富山から参加している「ハミングバード」は、無添加チョコレートの専門店。ガーナ、ベネズエラ、マダカスカル、ベトナム、タイなど世界各地の産地のカカオを使ったチョコレートや、白エビやホタルイカ、氷見うどんなど、ご当地食材をフレイバーに使った唯一無二の製品を紹介している。 「Cacao Zoku」は、ベネズエラ産のカカオに特化した手作りチョコレートを紹介している。 ベネズエラのファインカカオ豆として今では名が通っているというチュアオ、歴史上カカオが栽培されていた最も古い地域の一つに数えられるというグアサレ、お店の方曰く「杏仁豆腐のような味」が特徴のクンポト、純クリオロ種と呼んでもよいという幻の豆ポルセラーナなど、多様なベネズエラのカカオを使ったチョコレートを産地別に、原料の味の違いをわかりやすく紹介している。 長野県から参加している「SAITO CACAO」は、ブラジル出身の斉藤ビクトールさんが2023年に旗揚げした会社で、母国ブラジルから複数のブランドのビーン・トゥ・バー・チョコレートを紹介する。 近年、アマゾン地域を含む中南米がカカオの産地としても脚光をあびつつあるが、ブラジルでも、バイーア州、パラー州、エスピリットサント州などさまざまなエリアで高品質なカカオが作られている。 広大な国土を持ち世界に類を見ないダイナミックな自然の多様性を持つブラジルには、カカオに限らず日本では珍しい農作物が数多く存在している。 同国の4つのブランドを紹介するこの店では、アマゾン原産でカカオの親戚でもあるフルーツのクプアスや、ブラジルナッツ、アサイー、ガラナ、“アマゾンのナツメグ”とも呼ばれるピシュリなど、ブラジルならではのフレーバーを使ったチョコレートを並べている。 ブラジルの国民酒カシャッサを使った、ブラジルを代表するカクテル「カイピリーニャ」のフレーバーのチョコレートは先週日本に届いたばかりの初上陸商品だ。 千葉県から参加する「Tribal Cacao」は、ハイチ、ドミニカ、トリニダード・トバゴ、コロンビア、エクアドル、ホンジュラス、バヌアツ、ベトナム、ブラジルなど、産地別に厳選したカカオ豆を使ったビーン・トゥ・バー・チョコレートを紹介している。 「現時点ではまだ生産国しか表示していない製品が多いのですが、コロンビアは先住民のアルアコ族が作るカカオ、ブラジルはバイーア州産のカカオを使っています」とは代表の橋本直樹さん。 橋本さんは「今後は、より厳密に産地を表示して、生産者の顔が見えるようにしていきたいそれぞれの生産者の素晴らしい仕事を、チョコレートという“幸せ”の形で多くの方に届けたい」と語る。 「青玉学院大学フェアトレード・ラボ」は、イベントの主催者でもある立花商店と共同開発したフェアトレード製品「tiritUmo choco(ちりつもチョコ)」を紹介している。 「MAMANO chocolate」は、エクアドルの豊かな熱帯雨林で栽培される世界でわずか2%の希少なアリバカカオ専門店。現地の先住民族キチュア族が森林農法で育てたカカオの中から、最高品質の豆を輸入して作っているチョコレートを紹介している。個性的な味と香りは野生種カカオならでは。 また、東京チョコレートサロン2024では、生産者やチョコレート業界の最前線で働く人たちの生の声を聞くことができるセミナーも開催される。すでにチケットが売り切れているセミナーも立ち見による聴講は可能だ。 また、東京チョコレートサロン2024では、生産者やチョコレート業界の最前線で働く人たちの生の声を聞くことができるセミナーも開催される。すでにチケットが売り切れているセミナーも立ち見による聴講は可能だ。 初日に開催されたカカオ商社対談「今世界でカカオはどうなってるの?チョコレートは高級品になっちゃうの?」では、 普段消費者が直接話を聞く機会の少ないカカオを扱う商社の現場担当者3名が登壇。カカオの価格高騰の背景や、この先何が起こる可能性があるのか、などについて話し合われた。 登壇はカーギルジャパン合同会社の田中良知氏、三井物産株式会社の宮坂和憲氏、伊藤忠食糧株式会社の最相毅俊氏。司会を株式会社立花商店の生田渉氏が務めた。 カカオ価格高騰の要因のひとつとの要因として、世界第2位のカカオ生産地であり、日本が輸入するカカオの8割近くを担うガーナの不作の背景について、現場を知る各登壇者がコメントした。ガーナでのカカオの不作は、異常気象や病害だけでなく複雑な要因が重なり合って引き起こされているという。 カカオ畑の近隣で違法な金の採掘が横行していることで、水銀などで土壌が汚染されて栽培に影響を及ぼしている事例や、収穫期の労働力がお金が稼げる金採掘に流れてしまい労働力不足などの問題が引き起こされていることが紹介された。 東京チョコレートサロン2024は、明日9月22日(日)まで渋谷ヒカリエ9F Hikarie Hallにて開催される。 (文/麻生雅人)